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【大分市美術館】コレクション展「サマー企画 アート・ワンダーランド2025 アートの舞台裏~美術館のひみつ~」【感想】

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今年でなんと23回目を迎えるアート・ワンダーランド。
夏休みの子どもたちにアートを気軽に楽しんでもらおうという企画で、自然と熱中してしまうワークシートも準備されています。


今回のテーマは「アートの舞台裏」。


美術展がどのように計画され、どんな準備や工夫や苦労を重ねて本番を迎えるのか。
普段知ることができない舞台裏を追体験できる構成になっておりとても興味深かったです。


また、本展で撮影できるのはポップや解説などのみ。展示されている作品は撮影できないのでご注意ください。

展覧会ができるまで

展覧会開催までの段階は、大きく分けて3つ。

①作品を集める、守る。
②作品を調べる。
③作品を展示する。

大分市美術館は大分にゆかりのある作家の作品を主に集めているとのことですが、集めるだけでなく、作品を保護、研究することも学芸員の大切な仕事の一つです。

どんな作品を収集するのか、ひいてはどのような展覧会をするのか。
それを常日頃から考えているそうで、なんだか新製品を生み出す企画課のサラリーマンのような職業にも思えてきます。

作品を集めてただ保管すれば良いというわけでももちろんありません。
日本は多湿+地震が多い地域でもありますが、そもそも大分市美術館の周りは木々や森に囲まれた立地なので害虫対策が欠かせないそうです。(もし私が美術館の職員だったらなんでこんなとこに建てたんや怒、って毎日文句言ってると思う)

対策もただ単純に殺虫剤や防虫剤といったものではなく、作品ごと・虫ごとに対策をしているそうです。ひぇ〜大変!

こちらは掛け軸の保管、展示作業を体験できるコーナー。

手前の筒を掛け軸の下の筒に被せ、くるくると巻くことで折り目やシワをできるだけ付けずに状態を保つことができるそうです。
左に実際の作業風景を撮影したビデオも投影されており、私もそのマネをしつつ体験してみました。
くるくると巻き上げていくと、掛け軸の紙が擦れるような音がしてかなりスリリング。手に汗をかきました。

実際の展示ではこの作業を繰り返し、できる限り丁寧に迅速にやっていくことが求められるでしょうから、かなりの体力と集中力が必要。文化系の職業なのでそのような労務とは縁遠いと勝手に思い込んでいましたが、認識を改めることができました。特に中腰での作業は腰にダメージを受けそうです・・・。

こちらのコーナーでは実際に数種類のライティング、違う色温度(暖色系、青系など)で作品を展示しています。同じ作者が同じモチーフで作成した作品でもかなり印象が変わって見え、大変興味深かったです。

展示する作品の作者がこういうふうに作品を展示して欲しい、と指示を出すわけにもいかないでしょうし、毎回工夫とアイデアを出しつつ準備くださっている学芸員の方のお仕事をちら見できる、面白い展覧会でした。

「サマー企画 アート・ワンダーランド2025 アートの舞台裏~美術館のひみつ~」概要

黒幕の向こう側が展示室になっています。粋!

「サマー企画 アート・ワンダーランド2025 アートの舞台裏~美術館のひみつ~」展は大分市美術館にて2025年9月15日(月・祝)まで開催中です。
同時期に開催されているMINIATURE LIFE展のため、今年はあっさり系でしたがその分個人的には興味深い内容でした。
次回美術展を観覧する際はライティングや展示の状況などにも目線を向けられそうです。

MINIATURE LIFE展の半券で観覧できるので、ぜひ訪れてみてください。

開館時間10:00〜18:00<入館は17:30まで>
休館日7/14(月)、9/8(月)
観覧料一般       310円
高校生・大学生 210円
中学生以下・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳掲示者とその介護者 無料
HPhttps://www.city.oita.oita.jp/bunkasports/bunka/bijutsukan/
駐車場有(無料、約130台)

関連記事:【大分市美術館】サマー企画 アート・ワンダーランド2024 めざせ!アート博士【感想】

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