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【大分市美術館】宮廷画家ルドゥーテとバラの物語【感想】

投稿日:2022年5月1日 更新日:

大分市美術館で開催中の「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」展に行ってきました。


本展覧会に展示されている作品は172点。


ルドゥーテの代表作となったバラ図譜全点と、肉筆画を間近で堪能することができます。


植物学的正確さと芸術的完成度をあわせもつルドゥーテの作品。


その作品たちを前に立つと、香りまで漂ってくる・・そんな華やかな展覧会となっています。

ピエール=ジョセフ・ルドゥーテとは

(上記画像はウィキペディアからお借りしています)


ベルギー出身の画家で、フランス王妃マリー・アントワネット、そしてナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに仕えたルドゥーテ。


彼の作品の特徴は、植物学的にも正確なスケッチ。


そして銅板に点を刻むという、非常に手間がかかる多色刷銅版画に、更に手修正を施すことで、バラの花弁の質感、温度まで表現したような筆致。


当時の上流階級の人々に「花のラファエロ」や「バラのレンブラント」とまで称賛されていたそうです。


その作品の美しさは、現代でも色褪せることはありません。


おそらく皆さんも知らず知らずのうちに、食器や服飾などで彼の作品を目にしているのではないかと思います。

貴重なバラ図譜原画、肉筆画を間近に見ることができる展覧会

残念ながら写真撮影できる場所は一箇所のみですが、作品自体は間近で堪能することができます。


植物として正確に描かれているだけでなく、構図的にも、とても美しいバラ図譜の原画たち。


どことなく見返り美人図のような、独特な「しな」のような色気をまとって描かれているバラたちはそれぞれがとてもユニークです。


端的に言えば、まるで活け花のよう。


必要最小限まで削ぎ落とされたその佇まいに魅了されます。


当時のフランス上流階級の人たちを魅了したルドゥーテの作品ですが、時代を超えてもなお人々を魅了する力強い芸術作品だと感じました。

こちらは写真撮影スポットを更にドアップで撮影したものです。


バラの茎、葉の一枚一枚に至るまで繊細に描かれているのがおわかりいただけると思います。


美しく育てられたバラの、一番美しい状態をそのままに閉じ込めたような彼の作品。


バラがお好きな方には、特におすすめの展覧会です。

気になる点

(上記画像は大分市美術館ホームページよりお借りしています)


少し気になったのが展示作品の高さです。


立位で見るのに丁度良い高さにすべての作品が設置されているため、車椅子の方や、お子さん(抱っこできない年齢)にはあまりオススメできない展覧会だと感じました。


また、王妃マリー・アントワネットと皇妃ジョゼフィーヌに仕えた、というルドゥーテ。


会場内には王妃マリー・アントワネットといえばこれ!という絵画の垂れ幕と

皇妃ジョゼフィーヌといえばこんな人、という絵画の垂れ幕がかかっていました。

もちろん両方の絵画を手掛けたのはルドゥーテではありません。


また展示作品のすべてはジョゼフィーヌの死後発表されたものです。


ルドゥーテの年表も展示されていましたが、二人のビックネームに対して少し印象が薄れてしまった感が否めません・・。


特に激動だったはずの時代を、ルドゥーテがどう立ち回ったのかなどに興味があったのですが・・。
(ちなみに先述したマリー・アントワネットの肖像画を描いたヴィジェ・ルブランは、処刑・訴追などを恐れて亡命しています)


ルドゥーテその人を追った展覧会というよりは、バラ図譜原画展覧会といった感じになっています。


入り口付近にバラの香りがするアロマフューザーも設置してありましたが・・。


他に五感に訴えてくるような仕掛けもなく、延々と原画(とたまに解説)が掲示されているだけなので、少々物足りなさを感じました。

展覧会詳細

「宮廷画家ルドゥーテとバラの物語」展は大分市美術館で2022年4月15日(金)〜5月29日(日)まで開催中です。


ボタニカルアートがお好きな方も、そうでない方も、機会がありましたら、訪れてみてください。

開催日時2022年4月15日(金)〜5月29日(日)
開館時間午前10時〜午後6時(入館時間は午後5時30分まで)
休館日4月18日(月)、23日(月)
5月9日(月)、16日(月)、23(月)
観覧料一般1000円
高大生700円
中学生以下・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳掲示者及びその介護者は無料
HP大分市美術館
宮廷画家ルドゥーテとバラの物語展

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