
皆さんは、フードテックという言葉を聞いたことはありますか?
フードテックとは、食品関連分野にIT(情報技術)を導入することによって実現する新たなサービスやビジネスのことです。その範囲は、食品の流通・加工・調理の効率化のほか、飲食店や宅配サービスの予約システムなど多岐にわたります。
フードテックという言葉に耳馴染みがなくても、最近では回転寿司チェーン店などで座席案内に自動音声が使われていたり、セルフレジが採用されていたりと日常生活の中ではすでに触れているという方も多いと思います。
また代替肉(いわゆる大豆ミートなど)、植物性チーズなどもフードテックによる技術革新にカウントされるそうです。
フードテックは日本の飲食業界の救世主たるか

飲食業界といえば、人手不足が問題として挙げられると思います。
私自身、飲食業界で10年以上働き何度か転職も経験していますが、人手が足りているという状態の職場は皆無でした。もしあったとしても、ほんの数ヶ月。
気がつけば人は辞めていき、シフトがゆとりを持って組まれる、ということが少ない業界です。
そんな慢性的な人手不足を補うためか、昨今ではスマートフォンのアプリやタブレットを使用したオーダリングシステムや会計はセルフレジなどを導入するお店が増えていますね。
当初は使用するのに戸惑った方も多かったかもしれませんが、今ではすっかりおなじみのフードテックです。
しかし呼び出しボタンやラミネートされたメニュー表が置いてあるファミレスやレストランというのもまだまだあります。
どちらのお店が好ましい、とは一概には言えませんが、感染症の影響もあり今後はますます飲食業界でもIT技術による革新が進むだろうと考えています。
ロボットによる接客や、サービング(配膳)ですらも、ヒトが行っていないから逆に安心、安全、という価値観や感覚が共有されつつあるのです。
しかしこういったフードテックは、体力や余剰資金のある大企業(つまりチェーン店)でしか導入が進まないのが現状です。小規模経営の店舗や、個人店ではなかなか導入には至らないでしょう。
そういった店舗では今まで通りに人を雇わざるを得ない上、労働人口減少に歯止めがかからず、更に外国人労働者の受け入れも現状厳しい日本。けれど最低賃金は毎年上がるので、更に人件費が経営を圧迫します。
その結果サービス料が要されるような上質の接客サービスを受けられる高級路線の飲食店か、ロボットやAIを活用した路線の二層化が進みます。その間の中間レベルの飲食店は、残念ながら淘汰されていくでしょう。
個人的には、フードテックによる革新はどんどん進んでいって欲しいと考えています。
その方が、最終的には良いサービスにも正当な対価が発生する世の中になると思うからです。
フードテックでフードロス削減

フードテックは技術による食の革新です。
技術革新が進めば、食物が腐敗する原因を取り除く事が可能になり長期間鮮度を保つことができたり、需要に合わせて食品の流通や管理を正確に行うことができればフードロスの削減に寄与します。
例えばフードロス商品を取り扱ったECサイトの充実も、フードテックと呼べるでしょう。
フードテックが変える食の未来

フードテックの市場規模は世界中で700兆円とも言われています。
ヨーロッパや特にアメリカでは、フードテック関連企業への投資が活発になっているそうです。
アメリカではヴィーガンに代表される、動物性タンパク質を取らない方々も多いです。
家畜に飼料を与えて成長させ食肉として食べるよりも、植物由来の食品を食べる方が二酸化炭素の排出が少なくなるといわれており、そういったことも大豆ミートなどの代替肉に注目が集まっている要因でしょう。
日本でも、近頃はスーパーなどで目にするようになってきました。
2〜3年前、私も大豆ミートで作られた豚肉(に似せた薄切り肉の乾燥タイプ)を購入して食べた経験があります。・・・が、あまり美味しくなかったです。笑。
しかし、その感想もすでに2〜3年前のもの。現在はより美味しい大豆ミートに出会えるかもしれません。
フードテックとは「変わらない為に、変わっていく技術」

人手不足の中でも、クオリティの高い料理を提供したい。
時短で手間をかけなくても、美味しい料理が食べたい。
アレルギーや制限があったって、みんなと同じような食事がしたい。
フードテックは、そんな人々の希望や思いも叶えてくれる技術革新です。
これからどんな食の未来が待っているのか、食い意地のはった私はとてもワクワクしています。
栄養士やその他、飲食業界に身を置く方々の働き方も大きく変わっていくでしょう。
あ、でもSF漫画などでよく見る「カプセルが食事代わり」なんて未来はどうかご勘弁を!
お腹いっぱい美味しいものを食べたいですから!