アート

【大分県立美術館】つくる展【感想】

投稿日:2024年4月14日 更新日:

ちょっとアートっぽくない美術展に行ってきました。


「つくる展」。
TASKOというアートファクトリーの作品が「体験できる」今回の企画展。体験とは、味覚以外の五感を使ったアート体験のこと。

ともすれば「作品を鑑賞する」という一方通行になりがちな美術展ですが、今回のつくる展はまさに訪れた人と作品がお互いに干渉しあえる素敵な空間に仕上がっています。


様々な仕掛けがほどこされた作品たちが並べられた会場は、まるでびっくりおもちゃ箱のよう。モノづくりに興味がある方も、そうでない方も純粋に楽しめる美術展でした。


なお本展はすべての作品が写真・動画の撮影がOKとのことです。

つくる展 みどころ

会場入り口で迎えてくれるインスタレーション作品。
「る」が物理的に回っています。「る」の○(?)の部分はピンポン玉だし、浮いとるし・・。
そこら辺にあるガラクタをかき集めて作ったような作品なのが楽しい。

こちらはAmbilens(アンビレンズ)というCO2計測器。換気を行う目安(青→赤)を目でみて直感的に伝えてくれるデバイスだそうです。洋古書っぽいBOOK型モニターにしてあるのがおしゃれですね。古書なのに近未来感。

こちらはFLOWER DISPLAY(フラワーディスプレイ)という作品。赤い花が自動で咲いたり、閉じたりします。
文字で書くとなんてことなくなってしまうのですが、実際はふぁ〜お!みたいな美しさです。

みつしりと詰まってゐる。

本展最大の作品、パフューマリー・オルガン。
鍵盤(音階)に連動した瓶のフタがスライドし、そこに送られた空気が音と香りを同時に放つ・・という香楽器です。

イギリス化学者兼調香師のセプティマス・ピエース(1820-1882)が考案した香りの重い、軽いを音階に当てはめた香階という着想を元に考案された作品だそうです。30分毎に自動演奏で「カノン」や「木星」が奏でられますが、もちろん自身でオルガンを演奏することも可能。

鍵盤を押すと、香りの瓶がライトアップされる仕掛けで子どもたちに大人気でした。

ベルガモットやバニラ、オレンジなどの様々な香りが用意されていました。会場・・というかもはや県美全体(特に会場真上にある2Fの空間)がめっちゃ良い香りに包まれていました。衝撃!

TASKOってなんなんだ

「TASKOの棚から」。右下のモニタに映るカメラが棚のどこかに設置されています。探してみてね。


楽しい仕掛け満載の作品を作り出す「TASKO」。
舞台などの美術制作から広告やプロデュースまで幅広く手掛ける会社のようです。

会場にはイメージ・デザインボードもふんだんに展示されています。


作品の動きや仕掛け自体は結構シンプルでわかりやすいものが多かった印象です(だからこそ子供から大人まで夢中になってしまうのでしょう)。


けれど発想やワクワクを三次元に実現するための構想力、技術力はやはりモノづくりを手掛ける会社ならでは。いろんな事業に取り組むTASKOだからこそのアート展でした。

つくる展 概要

つくる展は大分県立美術館にて2024年5月6日(月祝)まで開催中です。
じっくり見て回って1時間かからない位だったので、ふらっと行けるのも魅力的。

普段美術館には行かない、アートって特に興味ない、という人ほど足を運んでほしい楽しい作品展です。機会がありましたぜひ。

開催期間2024年4月5日(金)〜5月6日(月)
開館時間午前10時〜19時
金・土曜日は20時まで
(入館は閉館の30分前まで)
休展日なし
観覧料一般    1,200円
高大生   1,000円
小中学生  700円
障害者手帳掲示者とその介護者(1名)は無料
HP大分県立美術館https://www.opam.jp/
Instagramhttps://www.instagram.com/opamjp/
TASKO HPhttps://tasko.jp/
駐車場有(詳しくは大分県立美術館のホームページまで)

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