アート 大分県情報

【アートプラザ】文中天地【感想】

投稿日:2023年10月17日 更新日:

壺中天地(こちゅうてんち)

《後漢の費長房が、市中に薬を売る老人が売り終わると壺の中に入るのを見て一緒に入れてもらったところ、りっぱな建物があり、美酒・佳肴 (かこう) が並んでいたので、ともに飲んで出てきたという、「後漢書」方術伝の故事から》俗世間を離れた別世界。 また、酒を飲んで俗世間を忘れる楽しみ。 仙境。

「書」と「インスタレーション」という一見不思議な組み合わせの展覧会「文中天地」。


馴染みはないけどなんだかカッコよく感じてしまう篆書(てんしょ)、篆刻(てんこく)作品がダイナミックな構図で展示されています。


まずは文字を門に見立てた入り口から、その不思議な世界に入り込んでみましょう。

篆書(てんしょ)
 ・漢字の書体の一種。実印や碑文の題字に使う。
篆刻(てんこく)
 ・木、石などに印を彫ること。
  篆書やその他の書体、図案の場合もある。

文中天地 概要

展示室入ってすぐのスペースに飾られているのは、アーティストの松下さんが普段教諭として勤務している大分高等学校書道部生徒さんの作品です。

会場のスタッフの方から、学生さんたちの書が飾られている壁を門に見立ててお入りください的な説明を受けます。


人が一人通れそうな隙間が空いています。向こう側の世界をそっと覗くような感覚です。

そろり、と足を踏み入れるといくつもの黒い棒と、地面に転がる石、周囲には篆書作品や篆刻作品、中央奥には月も見えています。


黒い棒は、丹念に焼かれた角材。まるでそれ自体が漢字の一画、空間自体に「書」が出現しているようでもあります。

部屋の奥に見えているのは月・・だったはずが近づいて見ると丸くもなく、全く別のなにかを月のように感じて眺めていただけなのだと我に返ります。

篆刻作品もじっくりと見ることができます。何が彫ってあるのか全く分からないけどなんだか良さげ・・。


門の内側はまさに別世界の雰囲気。いろんな角度から「書」を楽しめる空間に仕上がっていました。

夜も行ってみた!

通常の開場時間は10:00〜17:00となっている本展覧会。
しかし、訪れた方から「夜の雰囲気も見てみたい」との要望があったため、10月21日(土)のみ特別に20:00までの開場していました。

日中訪れた時とはまた違う雰囲気が漂っていました。

アートプラザは周壁がガラス張りになっているので、日没後の太陽の光がなくなった会場は、周辺の建物や光などの余分な情報が削ぎ落とされた状態になります。

その部屋で見る「書」は、不思議とその存在感が増していたような気がします。

わずか一日、数時間だけのレアイベント。とても貴重な時間を過ごすことができました。

アーティストご紹介

今回の美術展は、アートプラザが大分ゆかりのアーティストを紹介する「Pickup Artist展」。

今年で12回目となる本展覧会で作品を展示しているのは、松下航さんと、青トンカチさんです。


松下さんはなんと高校教諭をされながら作品制作を手掛けているそうです。い、忙しそう(#教師のバトン)。

青トンカチさんは昨年大分市中心街で開催されたアートイベント「回遊劇場AFTER」でも作品を展示されていました。

青トンカチさんのInstagramはこちらからhttps://www.instagram.com/aotonkachi_official/

関連記事:【大分市】回遊劇場 AFTER 大分アートフェスティバル2022【感想・作品紹介】


私にとって「書」はあまり馴染みのないジャンルなのですが、インスタレーションされることにより作品たちが美しく静謐に調和しており、一方で異世界の祭壇のような厳かさも感じました。

ほぼ同年代だという彼らの今後のご活躍も楽しみですね。

「書」という芸術

「書」という芸術。


今回の美術展でも再認識したのですが、個人的にはとても難しく感じました。


「書」を見るコツは、「読む」ことを一旦忘れ、純粋に「見る」ことだそうです。眺めていると書き手のリズムや、息遣いが感ぜられるそうな。


なんとなく分かるような・・分からないような・・苦笑。


「にんげんだもの」で有名な相田みつをは当初書家を志していたそうですが、戦後「これからは誰でも分かりやすいひらがなや言葉の時代だ!」とジャンルを変更しています。


まぁそこから日の目を見るまでに随分と時間がかかってしまうのですが・・。


なんとなく、そんなエピソードを思い出してしまいました。


関連記事:【大分県立美術館】相田みつを 全貌展〜いのちの尊さ ことばのチカラ〜【感想】

書の世界に没入しよう

文字や書で象られた門から訪れる世界は、たしかに通常では味わえない不思議な魅力に満ちた世界でした。


文中天地展は2023年10月22日(日)までアートプラザ大分にて開催中です。


ぜひ門をくぐり抜け、別世界に酔いしれてみてください。

開催場所アートプラザ2Fホール
開催期間2023年10月13日(金)〜10月22日(日)
開催時間10:00〜17:00
観覧料無料
ホームページhttp://www.art-plaza.jp/
駐車場有が、公共交通機関を推奨
詳しくは駐車場関連ページ


前回のPickup Artist展の感想記事はこちらから↓
関連記事:【アートプラザ】息吹の森から生まれる世界 ステンレス彫刻とテキスタイルアート【感想】

-アート, 大分県情報
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【大分県立歴史博物館】「雑誌」で読み解く昭和の社会【感想】

皆さんには定期的に購読している雑誌はありますか?最近ではどの週刊誌も雑誌も発行部数は右肩下がり。というか読んではいるけどタブレットやweb派だよ、という方もいらっしゃるかもしれません。私の子供の頃のお …

【やおや六画ストア】朝市日和【体験レポート】

大分市にある「やおや六画ストア」。その八百屋さんで毎週日曜日の朝、開かれている朝市があるのをご存知ですか?その名も「朝市日和」。しかも朝市日和のゲストは週替りなので、毎回違った名物が楽しめます。朝市日 …

【大分県立美術館】つくる展【感想】

ちょっとアートっぽくない美術展に行ってきました。「つくる展」。TASKOというアートファクトリーの作品が「体験できる」今回の企画展。体験とは、味覚以外の五感を使ったアート体験のこと。ともすれば「作品を …

【上野の森美術館】深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」【感想】

まるで生きているかのような金魚のみずみずしさ。そのヒレの透明感、軽やかな煌めき。じっと見つめていると、今にも動き出しそうな立体感。ため息が出るほど美しい作品たちを手掛けたのは、自らを「金魚絵師」と名乗 …

【無職ライフ】簿記3級ネット試験【受けてみた】

時間富豪・無職。現在無職の私もご多分に漏れず、思いきり余暇を楽しんでいます。その有り余る時間を有効活用し、先日日商簿記検定3級に合格することが出来ました。簿記の試験は、もともと年に4回しかチャンスがな …

ブログ村バナー

ゆずと申します。
大分市在住です。
趣味は食べること、カフェ巡り。

Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。