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【大分県立美術館】イメージの力 河北秀也のiichiko design【感想】

投稿日:2023年2月12日 更新日:

まずはこちらのCMをご覧ください。

テレビからこの曲が流れてくると、条件反射で画面を凝視して勝手に切なくなったりしんみりしてしまう・・そんな大分県民は多いと思います。


かくいう私もその一人。

yahoo!知恵袋では気分が滅入るCMとか言われててちょっと笑ってしまいましたが、行ったこともない、見知らぬ海外の映像に郷愁を感じてしまうってよく考えれば不思議。


大分県立美術館で開催中の「イメージの力 河北秀也のiichiko design」展は、そんなデザインが持つ魅力やパワーについて再発見できる内容になっています。

河北秀也氏 略歴

以下は、今回作品を展示されている河北さんについての略歴です。


河北秀也(アートディレクター/東京藝術大学名誉教授)。


福岡県出身。東京藝術大学在学中に手掛けたサクマ製菓の「いちごミルク」のデザインを手がける。
卒業制作として、営団地下鉄の地下鉄路線図をデザインした。(卒業には間に合わなかったが、後に正式に採用された)


大分県宇佐市にある三和酒類に義兄、実姉、高校時代の先輩が勤めていた縁でiichikoの広告ポスターを手がけるようになる。


1986年からはCM制作も担当。

ポスターやCMは口コミで評判になり、iichikoの売上は当時200倍を達成。

一部の商品では氏がボトルやパッケージのデザインも行っている。

2000年グッドデザイン賞、2001年ナショナルジオグラフィック広告賞、日本パッケージデザイン大賞などを受賞。

いちごミルクのパッケージデザインまで手掛けていたとは、驚きです。
しかも河北さんはその時大学生のアルバイト。


当時は「キャンディ」といえばカタカナを商品名に使うことや、パッケージは中身が見えるように透明であることが暗黙のルールだったそうですが、河北さんが購入層を調べたところ、一番買っていたのは「幼い女の子」だったそうです。


それで全てひらがなの「いちごみるく」という商品名と、カワイイパッケージをデザインしたところ売上が20倍に(上司には絶対売れないからと、めっちゃ怒られたらしい)。


わたしも子供の頃めっちゃ食べてた・・パッケージもかわいくて、包み紙をなんとなく取っておきたくなるし、ちょっとシャリシャリしてて中から練乳っぽい味がするのが大好きでした。

見どころ

会場内の展示作品はすべて撮影が可能です。


また、場内の様子はこんな感じ。

掲示されている作品の高さもちょうど良く、足元も広めに空間が取られているので、子供さん連れや車椅子の方でも無理なく楽しめると思います。


また、河北さんがそのデザイナー人生の初期に手掛けた「地下鉄マナーポスター」の作品も展示されています。

当時流行っていたニッカポッカのウイスキーを片手に微笑むサンタさん(仮)。

10月にクリスマスの時期モノを出すのは珍しかったそうで、人目を引いたそうです。

写真だと分かりにくいですが、右端に「赤ちゃんを抱いたお母さんに席をお譲りください。」と書かれています。


1977年のポスターだそうですが、40年以上経っても未だにベビーカーを畳むの畳まないの蹴られるだのやってる日本人の民度に涙が出ちゃう。

河北秀也のデザインが持つパワーとは

上記の写真は河北さんがデザインを手掛けた「いいちこフラスコボトル」だそうです。カッチョいい。


「美しすぎて、捨てるのに勇気がいる」がコンセプトだとか。た、確かに・・。


河北さんのデザインの持つ魅力、パワーのようなものの正体。それって一体何なのでしょう?


焼酎というお酒がまだまだ田舎臭い、高級なお酒とはかけ離れたイメージだった時代。


河北さんはそのイメージを払拭したかったそうです。
iichikoが口コミのみで売れていた時代、実は購入していたのは40代、年収600万円以上、日経新聞愛読者という調査結果が出たそうです。


つまり実際の購入者はちょっと生活にゆとりのある世代だった。


きちんとしたマーケティングを行い、その対象に向けての広告を作成する。


そして商品のラベルやボトルを全面に押し出すのではなく、「実際に口にした時のイメージ」をポスターやCMに込めているそうです。

良いデザインをするためには、正確にデザインする対象のことを理解することが重要。生産されている現場や製造工程などはもちろん、更に美味しく見せるには・・などなど。


2月11日に河北さんを講師にお迎えして行われたイベントでは、アイデアとは完成して初めて「アイデア」と呼べる、良い・悪いじゃなくてとにかく「やる!」とデザインに関してエネルギッシュに語るお姿を拝見できました。


河北さんのデザインの魅力の一端を垣間見た気がします。

関連イベント

予定されている関連イベントのご紹介です。

講演会「イメージの力 iichiko design が目指したもの」(終了)

開催日の初日(2月11日)、河北秀也さんを講師にお迎えしてトークイベントが行われました。

ギャラリートーク 2/25(土)、3/18(土) 各日14:00〜15:00

予約不要の解説イベントです。両日ともに観覧券が必要です。

三和酒類 特別ブース 3/11(土) 10:00〜17:00

iichikoの版元、三和酒類による特別出店ブースです。

お酒の試飲や、アルコール体質への理解を深めるブースが予定されているようです。
大分県立美術館の1Fアトリウムで開催されるので、チケットがなくても無料で楽しめるイベントのようです。

iichiko presents ビリー・バンバン コンサート 3/11(土)14:00開演

歴代「iichiko」のCMソングを提供したビリー・バンバンのコンサートが行われます。

会場は大分県立美術館のお隣、iichiko 音の泉ホールです。チケット代は2,000円です。各種プレイガイド、またはiichiko 総合文化センターでお求めください。


館内にあるカフェ「シャリテ」では、展覧会を記念した特別メニューも提供されています。みそかつ美味しそう!

酒造巡りツアーも!

展覧会と連動した企画で、大分県内の酒造やワイナリーを巡るバスツアーが開催されます。


開催日によってツアーの内容や料金が変わりますが、すべて展覧会のチケット、食事、酒蔵での試飲が付いています。


出発は大分県立美術館(OPAM)、最後は大分駅へと送り届けてくれるので、もちろんお酒を飲んでも安心。


展覧会で盛り上がった気分のまま、お酒を楽しめそうです。


予約はこちらから↓
中和国際株式会社 大分県酒造巡りツアー

イメージの力 河北秀也のiichiko design展 概略

イメージの力 河北秀也のiichiko design 展は2023.2.11(土・祝)〜3.29(水)まで大分県立美術館で開催中です。

開催期間2023年2月11日(土・祝)〜3月29日(水)
開館時間午前10時〜19時
金・土曜日は20時まで
(入館は閉館の30分前まで)
休展日なし
観覧料一般 800円
高大生500円
中学生以下・障害者手帳掲示者とその介護者(1名)は無料
HP大分県立美術館https://www.opam.jp/
展覧会https://www.opam.jp/exhibitions/detail/781
駐車場有(詳しくは大分県立美術館のホームページまで)

おまけ

同じ懐かしイメージ路線でCMを作っているのが、大分むぎ焼酎二階堂です。


大分では焼酎のCM=懐かし切ない路線て決まってるの?と勘違いしそうになりますが、iichikoようする三和酒類(宇佐)のCM(もちろん河北さんが手掛けています)放送開始は1986年


対する二階堂酒造(日出)のCM放送開始は1987年なので・・言いたいことは分かるな?


おっと・・誰か来たようです。
それではまた次の記事でお会いしましょう。

関連記事:何故アートは「高尚なモノ」になってしまうのか?

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