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【アートプラザ大分】楊文寧日本個展【感想】

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全国に散らばる愛石家の皆さん、お元気でお過ごしでしょうか。


今回の記事はアートプラザ大分で2日間だけ開催された、中国は南京で産出された美しい石の展覧会へ行った時の記録になります。


アートプラザ大分の公式Instagramで流れてきた美しい写真に惹かれて訪れた最終日。
写真を超えた石の輝きに打ちのめされました。


主催者である楊さんは30年以上石の採集を続けているそうです。
娘さんの通訳とグーグル翻訳で片言ながら感動をやり取りしたという体験含めとても貴重な時間になりました。

主催者紹介

中国の南京より来日された楊さん。

楊さんが暮らす南京(金陵)付近にある鉱山では、非常に美しい石が採取できるそうです。
採掘場としての役目を終えたそのような山々を探索し、コツコツと30年近くもコレクションされているのだとか。
楊さんはその過程を「石に選ばれる、呼ばれる」というふうに表現されていました。

掲示されていたパネルに写っているのは楊さんのコレクションの中で最も有名な2点だそうです。
上の写真には詩人の方に読んでもらった詩(の日本語バージョン)も添えられています。

水墨画のような流線形が閉じ込められた石。
誰かが描いた中国の景色だよ、と言われても違和感がありません。
中国と日本では地層も何もかもが違うと言われればそれまでですが、今まで生きてきた中でこのような石は見たことなく、かなりの衝撃を受けました。

オーストラリアのメルボルンで開催された展覧会の様子も掲示されていました。
世界中に石の愛好家がいるのですね。楊さんはワールドワイドにご活躍されているようです。

めくるめく美しい石の世界

白く大きなお皿には水が貼られており、その中心に石が置かれています。

なぜこのような展示スタイルなのかお聞きしたところ、「それが一番美しく見える展示方法だから」とのことでした。長年石を愛でてきた人だからこその展示スタイルですね。

石の横に置かれているカードは、楊さんがつけたその石の作品名。
鑑賞者に合わせて日本向けのタイトルをつけてくださっているようですが、なかなか見覚えのない漢字もあり、そのようなところも含めて楽しいです。

神秘の極みのような石たち。
それらはただ存在しているだけで、人が勝手に美しさを見出し、虜になっているだけです。
何年経とうが変わらずそこに美しさは残り、鑑賞者の人間だけが移ろっていく。

遠い異国の地の山中から掘り出され、縁あって眼前に並べられている石たちを見ていると、時間の流れや世界の大きさやら何やらに圧倒されるようです。

全部見せちゃうよのコーナー

撮影してきた写真をすべて掲載することは当ブログではほぼしないのですが、今回は個人的にも特に記録として残しておきたいので載せておきます。重かったらごめんね。

作品のタイトルは左の大きな写真から時計回りに並べています。

「在水一方」「スーパーモデル」「墨猿」「沐浴」「漁翁」「紅佛」

「浮世絵」「水月観音」「大和撫子」「峨眉佛影」「河童」「禅」

「人魚姫」「スケッチ」「霊猿」「星間空間」「倩影」「風雅」

「サクランボ」「オズの魔法使い」「祈り」「月上柳梢」「花渓」「仙境」

「燦爛」「氷影」「童趣」「舷窓」「仙人指上螺」「大力娃」

「悟道」「九寒美境」「飛瀑」「夢幻」「宇宙」「虔誠」

※「九寒美境」の寒の部分はウ冠に某という漢字でしたが、検索をかけても見つからなかったので無理矢理当て字をしています。漢字難しい!

こうして一同に並べてみると、石の多彩さに改めて驚きますね。嫉妬しちゃう。
透明感のあるもの、色鮮やかなもの、グラデーションになっているものもあれば色がはっきりと線のように別れているものもある。ずっと見ていても飽きが来ません。
付けられたタイトルにも込められた思いや意図があり、それを読み解くのも楽しいと感じました。


日本に来ても母は石のことばかりで、、と娘さんが笑ってらっしゃったのも大変微笑ましく、印象に残っています。
楊さんの今後の愛石ライフのますますのご発展、ご多幸をお祈り申し上げます。

おまけのコーナー

なんとありがたいことにお土産まで頂いてしまいました!

上の石は楊さんのコレクションのうちのひとつで、下が楊さんのコレクションも掲載されているポストカード集です。
石は数点ある中から選んで良いとのことだったので、迷いつつ選んできました。
意外と重さがあって、このサイズで16グラム(約500円玉2枚分)あります。

すごく素敵な色合いで、毎日眺めています。不思議なことに、毎日印象が変わるんですよ。
今日は赤色が一段とキレイだな、とか。白の入り具合が変わったかな?とか。
もちろん石は変化なんてしないので、見る側の私の心持ちが変わっているだけなのですが・・。
今なら飛影(幽白)の気持ちがわかる気がします。


水を張ってくださいね!と言われたんですが手で触りたいので普通にお皿に並べています(ごめんなさい)。


石を眺め、癒やされるとともに楊さんと娘さんの暖かさ、石にかける情熱、やり取りした感動を思い返しています。これだからアートって楽しいです。

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