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【アパレルの10年後】生活必需品かつ消耗品だけど衣服を定価で買わない私たち

投稿日:2021年5月17日 更新日:


この記事はアパレル業界で働いた経験もなければ、ファッションにそれほど興味も無いという人間がしたためております。
ご了承くださいまし。


アパレル業界の市場規模は年々減少しています。

1990年代は15兆円規模であったのが、2000年代に入ると12兆円、2010年代は10兆円、そして2020年以降は9兆円まで下がっているそうです。
ネットショップ担当者フォーラム、調査データニュースより引用


もともと市場規模が減少し続けていたところに、新型コロナウィルスの影響で更に売上が減少。


1902年創業の大手老舗メーカーレナウンの倒産、ファッションブランド「セシルマクビー」全店舗閉店など、アパレル業界は先行き不透明どころかお先真っ暗なニュースで満載です。


私も昨年の支出を振り返ったところ、衣料に使ったお金は1年間で約2万円でした。

もちろん年収によって差は出てきますが、女性は年間「7〜8万円」男性は「5〜6万円」が平均のようです。


ところで、皆さんは衣服を定価で購入していますか?


私はもちろんしていません。


そして、皆さんの中にも衣服は定価では買わない、を持ち前にしている人も多いのではないでしょうか。


生活三大要素と言えば「衣・食・住」。


それでは生活必需品で消耗品であるはずなのに、私たちはなぜ衣服を定価で買わないのでしょうか。

生活必需品かつ消耗品だけど衣服を定価で買わない私たち


さて、定価で買えない人もいるだろう、ということは横に置いておきまして定価で買わない人の話をします。


衣服を定価で買わない人にとって衣服とは、すぐに資産価値が低下するものであり、定価で買う意味が見いだせないものであるからです。


なぜなら、

定価で購入したスカートが3週間後には10%オフで売られていた。

という悔しい思いをした人もいれば、

このワンピース、70%オフで売られている・・・ということはちょっと気になっているあのシャツも、もう少しすれば値下がりするかも・・・

という期待を抱く人もいるわけで・・・、つまり、衣服というのはすぐ値下がりするものであり、定価で購入すると損をするという考えの人が多いわけです。


もちろん、洋服やおしゃれが大好きで、いち早く流行の服や色を取り入れたファッションを身にまとっていたい人や、衣服に使うお金には糸目をつけないタイプの人もいるでしょう。


しかし、おしゃれが大好きな、これは友人の話なのですが、例えば春用カーディガンを5着を持っているような人でさえ、定価では買わない選択をしています。


店舗でフィッティングまで済ませたあと、それをECサイトでチェックしておき、セールのお知らせが来たら買う、という賢い買い方をしていました。


また、良いな、と思ったワンピースやコートがあれば、似たようなブランドの低価格帯のお店に行く。


すると、だいたい似たようなワンピースやコートがあるのでそちらで購入する。
一番最初に気に入ったお店では買わない、という友人もいました。


衣服を定価で買えば損をする・・むしろ値引きされたあとの価格こそが正規の金額である


頻繁に特価セールや値引きセールが繰り返されるアパレルショップで、消費者側がそんな感覚を持ってしまうのは致し方ないのではないでしょうか。


では何故頻繁にセールや値引きをするんだ、と問われれば業界側の問題(都合?)で余剰・過剰在庫が原因なのだそうです。


たくさん作って、たくさん売る。

たくさん作るのは、在庫切れを避けてチャンスロスを発生させないため。

売れ残った分は廃棄するよりマシなので、値引きして売り切る。


ということが長年繰り返されてきたのが要因のようですが、私は正直アパレル業界で働いたこともファッション業界に詳しいわけでもないのでその点は深く語らないでおこうと思います。
(ぶっちゃけ主要消費者である若者が減少し続けている日本で、しかも業界全体の市場規模は年々下がり続けているというデータがあるのに何故過剰に作り続けているんだ?という疑問はありますが)


とにかく、値引きばかり繰り返される状態に消費者側が慣れてしまったので、定価では買わない、という意識が定着してしまったのは間違いないと思います。

買い揃える必要性も、買い換える必要性も無くなってしまった衣服


定価では購入しない、がお決まりごとの衣服でも、数年前までは季節毎に買い足したり買い換えたりする人は多かったと思います。


特にファッションに興味がない私でも、身体はひとつしかないのにタンスに衣服はあふれていました。


そんな、生活必需品かつ消耗品、そして娯楽性と趣味性が高かった衣料品ですが、ついに価値観の転換期が訪れます。


お察しの通り、新型コロナウィルス感染症の影響です。


収入が減少し、衣服にお金をかけるゆとりがなくなった人もいます。


しかしほとんどの人は、衣服にお金をかける必要性そのものが薄れたのではないでしょうか。


一昔前は、仕事着、普段着、おしゃれ着と、いろいろなシーンで洋服を着替えていました。


例えば出勤時はスーツ、帰宅したら部屋着、お出かけやデートの時はきれいめカジュアル、という感じです。


しかし、リモートワークが普及していく中やお家時間が増えていく現状では、着替えを用意し、様々なパターンの服を買い揃える必要性そのものがありません。


価値観の変化により、お出かけする機会・必要性が単純に減っていることもあります。


また、最近の衣料品の品質は向上しており、ワンシーズン着倒してもへたれない衣服も増えています。


毛玉がついたり首元がヨレヨレになったりせず、衣服自体が丈夫な作りになっているので、買い換える必要性も昔に比べて減っているのです。


そして、服を買い揃えたり買い換えたりしなくても快適に生活できる、と気がついた人が再び衣料費にお金をかけることはないでしょう。


もちろん、新型コロナウィルスへが対策が一段落した際には一時的に売上は復活すると思っています。


ショッピングという行為はレジャーの一面も持っているからです。


しかし一過性のものだと考えています。

生き残りをかけたEC戦略は失敗の予感しかない


売上低迷のアパレル業界で活路を見い出されているのが、EC販路(通販)です。


大手アパレルブランドのアダストリア(ニコアンド、ローリーズファームといえばお耳に馴染みのある人も多いと思います)はECでの売上が前期に比べて23%増加(2021年2月)したそうです。
ネットショップ担当者フォーラムEC・通販業者ニュースより引用


EC販売の弱点でもある、試着できない、サイズ感が分からない、というポイントを実店舗のスタップが実際に衣服を着用し、インスタLIVEなどで解説、質疑応答するなどの細やかなサービスが好評のようです。


他にも、WEB限定販売商品や、レビュー投稿でポイント付与などあの手この手でECでの売上を上げようとしているようです。


確かに、今後もEC販売での売上は増加していくと思います。


しかし、アパレル自体の市場規模が回復するわけではありません。


消費者が店舗ではなく、ECで購入するようになっただけなのです。


つまり、購入量が増えたわけではなく、購入する場所が変わっただけです。


よく考えてみなくても分かりますが、店舗で1枚しか購入しなかったTシャツを、通販が便利だからといって2枚購入するでしょうか?


しかもECサイトの値引率は店舗売りの値引率よりしょっぱいです。


また、アパレルが自社サイトで購入して欲しくても会員や購入者数が増えなかった場合、知名度抜群のZOZOTWON、Amazon、楽天などのモールサイトに出店しようとします。


もちろん消費者側にとっては便利です。


なにせ似たような各アパレルの値段を見比べて購入することが可能になりますので。


実店舗で例えると、路面店でお店を構えるアパレルと、駅ビルや商業施設に入っているアパレル、どちらで購入しやすいかとイメージすると分かりやすいと思います。


もちろん集客数は駅ビルや商業施設が優れているので、商品を手にとってもらえる可能性は上がるでしょう。

そして消費者にとってより魅力的に思われるよう、再び値引き競争が始まります。


また、フリマアプリの台頭もあります。


もはや店舗でもECでも購入しない。

メルカリやヤフオクでしか衣服は購入しない、という人もいらっしゃるかもしれません。


フリマアプリが流行れば流行るほど、もちろん新規購入者数の数は減り続けるのでアパレル全体の売上も下がります。


そんな訳で、EC販路をいくら開拓したとしても、私はずっと以前のように市場規模が回復することはないと考えています。

アパレルの10年後


商品売買というのは、定価で売り切って在庫がない状態、というのが利益率からみても理想です。


アパレル業界の方たちが自分たちのご都合で値下げ合戦を繰り返してきた結果、衣服は定価で買わない、という考えが定着しました。


値下げされた状態で買うのが常態化してしまった衣料品。


そして、値下げしたとしても必要ないものは買わない価値観の人が増えています。


アフターコロナの世界でもおそらくその価値観は変わりません。


アパレルは生活必需品で消耗品だから大丈夫、という意見もちらほら目にしますが、人口(特に若者)と賃金収入が下がり続けている日本国内向けのアパレルに光は見えません。


確かに、中国や海外に販路を持つアパレルはまだ生き残りの可能性はあると思います。


しかしその他の、ブランド性もない、販路もないアパレルは淘汰されていくでしょう。


またそれに伴って地方ではアパレルの店舗・・というかファッションの選択肢が減っていきます。


アパレル業界の時価総額世界一位を達成したファーストリテイリング(ユニクロ、GU)、郊外の路面店が多くコロナ禍でも増収となったしまむら、個人的希望として無印良品(無印はアパレルではなく、アパレルも取り扱う雑貨店ですが)。


地方ではこの3店舗が主流、あとは小さなアパレルが商業施設やモールに生き残り、EC販路を主流としつつほそぼそと営業を続けていくのではないかと思っています。


地方に住む若い人やファッションが好きな人にとっては、少々寂しい未来が待っているかもしれません。


もちろん、予想が外れることをお祈り申し上げております。

おまけ

奥のトップスはユニクロでそれぞれ500円(季節外れの型落ち品)、手前の靴下はセリア(100均)で一足100円で購入しました。


ユニクロのトップスは何度か着用しましたが丈夫な作りです。好き。


100均の靴下は、デザイン性やバリエーションはバッチリだったのですが、やはり耐久性はいまいちでした。リピートするかは少し・・考えます。


それではほんとに終わり!


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