老若男女、みんな大好き福澤諭吉。
病める時にも、健やかなる時にも、そば(サイフの中)に居て欲しい。
そんな福澤諭吉は幼少期(1〜19歳まで)を大分県中津市で過ごしました。
その幼少期に過ごした家を整備し、展示しているのが福澤諭吉旧居です。
また隣接している記念館では、福澤諭吉の半生を貴重な資料とともに振り返ることができます。
旧居、記念館合わせても所要時間は30分〜1時間程度で見学できる施設となっているので、観光スポットとしても文化施設としてもおすすめ。
記念館は写真撮影が禁止、福澤諭吉旧居は撮影OKとのことです。
福澤諭吉旧居・記念館の見どころ
敷地内を入って左手側にある福澤諭吉旧居は、自由に写真撮影ができます。
THE・日本家屋といった佇まいの中に、袴姿で帯刀した福澤諭吉の等身大パネルが設置されています。
諭吉の身長は173cmあったそうです。当時の日本人男性の平均身長が約160cm程度だったことを考えると、随分大柄な方だったんですね。
諭吉は元々大阪で生まれました。
諭吉の父は中津藩の下級武士の家系で、今で言うと金庫番のような仕事についており、大阪に家族全員で出向していました。
しかし諭吉が1歳の時に父が急死。
故郷である中津へと移り住んだのでした。
武家階級とはいえ、下級武士で父も亡く、家系は苦しかったでしょう。
諭吉は手先が器用だったらしく、自ら障子や畳の張替えなどの家事をこなし、敷地内にあった土蔵の壁も補修、2階を勉強部屋へと改修します。
蔵で米つきなどの家事を終えた後、2階にこもって勉学に励んでいたとのことです。
時代を感じる茅葺屋根。
かなり近づいて肉眼で見ることができるので、諭吉の過ごした幼少期をイメージしやすいと思います。
写真向かって右側の茶色の建物が記念館です。
記念館では、日本銀行券第一号(最初に刷られた一万円札)の実物展示の他ビデオ資料もあり、福澤諭吉って結局何した人なの?ということが分かります。
私のおすすめは2階に展示している「福澤山脈」とも呼ばれる、諭吉の人脈図。
政治家や学術関係はもちろん、現代にも残る大企業や、財閥の長たちと諭吉との交友関係が分かりやすく展示されており、迫力があります。
THE・敵に回したくない男、福澤諭吉。
福澤諭吉のココがすごい
個人的に福澤諭吉に関してココがすごい!と感じているポイントをご紹介します。
それは、蘭学から英学へと、リスキリングを行ったこと。
諭吉は中津時代の幼い頃から勉学に励んできました。
儒学、漢学などをがむしゃらに吸収していきました。
19歳の時(1854年)、兄である三之助の勧め、援助もあり、蘭学を学ぶために長崎へ留学。
大阪で適塾を開き塾長となった(1857年)あと、江戸にある中津藩邸からの命を受けて江戸で今の慶應義塾の原点となる蘭学塾を開きます(1858年)。
同じ頃、横浜見物に行った諭吉は、「これからは蘭学ではなく、英学の時代だ」ということを痛感します。
折しも時代はペリーが浦賀沖に来航(1853年)、日米通商航海条約(1858年)が締結し、神奈川・横浜が開港して間もなくの頃でした。
実兄や家族の助けを得て長崎に留学してまで修めた蘭学。(ちなみに兄・三之助は1856年に病死、次男であった諭吉が家督を相続しています)
所属している組織である中津藩の要請もあり、蘭学塾を運営しているなかで、それまでの人生でフルベットしていた蘭学を捨て、英学にフルベットをし直す。
今のようにインターネットで良い教材がすぐに見つかるという時代では当然なく、本や辞書なども貴重であった時代。それでも諭吉は独学で英学を修めます(1859年)。
努力のかいあって、1860年、咸臨丸という船の責任者の付き人として渡米し、帰国後は幕府の外国方の職をゲットします。
現代の感覚で言うと、地方の役人がいきなり外交官に就くような感じでしょうか?江戸時代の終わり頃とはいえ、身分制度は俄然存在しており、単純に比べるのは難しいですが・・。
時代の流れを読み取る感覚、切り替えの速さと行動力、そして努力の上で目的を達成する実力。
もちろん一万円札の「顔」に選ばれた理由はそれだけではありませんが、福澤諭吉の生き方そのものは現代でも学ぶべきポイントのひとつだと思います。
故きを温めて新しきを知る
福澤諭吉旧居・記念館は中津駅から徒歩約15分程度の場所にあります。
最寄りのバス停はありませんが、敷地内には無料の駐車場もあり、また中津城や中津市歴史博物館とも近い距離にあるので、散歩がてら周辺を歴史探索をするのもおすすめです。
開館時間 | 午前9時〜17時 (入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 12月31日 |
観覧料 | 一般(高校生以上) 400円 中学生以下 200円 未就学児、中津市在住の65歳以上の方、障害者手帳掲示者とその介護者(1名)は無料 |
HP | https://fukuzawakyukyo.com/ |
https://www.instagram.com/oita_fukuzawa/ | |
駐車場 | 有(無料) |