2022年、電力不足の懸念が叫ばれています。
地球温暖化対策、そしてCO2削減のため、太陽光発電や、風力発電などの再生可能エネルギーへの転換を推し進めて来た日本政府。
これまで我が国の主な発電方法であった火力発電は、施設の運営・維持に莫大な費用がかかり、おまけに施設自体が老朽化。
電力自由化による取引価格の低迷、円安も追い風となった燃料費の高騰。
事業としては採算が取れなくなっていた火力発電所を、電力会社は全国で相次いで廃休止。
原子力発電所も、東日本大震災以降、廃炉が決定したり、安全対策工事に時間がかかりほとんど稼働していません。
頼みの綱の再生可能エネルギーですが、残念ながら減少した発電量を賄えるほどの発電量は無いそうで・・。
その結果全国的に電力不足に陥っている・・という本末転倒の現状になっているようです。
あれ?再生可能エネルギーってクリーンで持続可能で、夢のエネルギーじゃなかったの?
みんな大好きSDGsでも7番目の目標として「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と謳われているけど?
今回は絵本「おはなしSDGs 夢の発電って、なんだろう?」を通して日本のエネルギーについて考えてみようと思います。
おはなしSDGs 夢の発電って、なんだろう? 概略
少し絵本の内容をご紹介しておきます。
主人公は小学6年生の女の子。
クラスの班で調べ物学習をし、発表会をすることになります。
転校初日に話しかけてくれた、主人公の友だちの提案により「ソーラー発電」について勉強することになった主人公チーム。
しかし実はその友だちは、クラスメイトからも「シーオーツー警察」と揶揄されるくらいの熱心なソーラー発電の信奉者だったのです。(※小学6年生)
そして本番発表会の前の練習として開かれたプレ発表会の場で、ソーラー発電の素晴らしさ、他の発電方法のダメさをとうとうと語る友だちだったが・・。
別の班のイケメン論破王(※小学6年生)に、ソーラー発電の発電量、蓄電池の脆弱さ、ソーラーパネル自体の有害さについて指摘されてしまいます。
なんというか「登場人物全員本当に小学6年生?」といった息を飲むような展開でした。
私が小学6年生の頃なんて「今日夕方のアニメ何かなー」とかしか考えて無かったですからね。
物語は主人公が、イケメン論破王にぶつけられた指摘に、逃げずに立ち向かい、本番の発表会を成功させるところで終わります。
最近の小学生ハンパねぇ。
私だったら絶対心折れて不登校になってる。
夢の発電ってそもそも何なんだ
再生可能エネルギーとは、石炭、石油、天然ガスなどの有限な資源ではなく、太陽光や風力、地熱などといった常に自然界に存在するエネルギーのことを指します。
使っても枯渇することなく、地球環境を悪化させることもない、持続可能なエネルギー。
そんな、「食べても食べても減らないどら焼き」のような、夢のようなエネルギー。
しかし、人類の知恵や技術力はいまだそこに達していません。
例えば太陽光発電は、日中しか発電できず、しかもその発電量は天候に左右されます。
ソーラーパネルも耐用年数や経年劣化により、いずれは廃棄せざるを得ません。
山林を切り開いて設置すれば土地は痩せ、水害や土砂崩れが起こりやすくなります。
そもそもCO2を吸収する森林を伐採してソーラーパネルを設置するという矛盾さ。
またソーラーパネルを作る時も廃棄する時も大量のCO2が発生するでしょう。
肝心の発電した電力をためておく蓄電システムも、ビル・ゲイツ氏によれば鼻で笑われてしまうレベルのようです。
ビル・ゲイツ氏 再エネについて東京を例にして笑う
人間は、新しい技術や、革新的な研究、あるいは超優秀な誰かがいつか現れて、問題を解決してくれるのだ、と夢見て勘違いをしやすいし、実際そのような話には物語性もあり飛びついてしまう生き物です。
しかし、夢の発電などという「特効薬」のようなものは実在せず、実際技術の進歩とは泥臭く地味なものなのだろうと思います。
1980年代、石油はあと40年で枯渇するだろうとの試算が出ていました。
しかし実際40年以上経た、2022年現在でも石油は枯渇していません。
それはひとえに探索技術の進歩により新たに埋蔵されている石油が発見されたことや、採掘技術の進歩により採掘可能な石油量も増加したからです。
夢で終わらせないために
かつて枯渇する、と見られていた石油は技術の進歩により、まだまだ採掘が可能なエネルギー資源となっています。
夢の発電、、再生可能エネルギーだって現状の発電量では到底足りませんが、それでもやはり研究は続けるべきです。
また再生可能エネルギーだけに囚われず、さらに効率よく発電する技術や、CO2の排出量を削減するという研究も必要です。
しかしそういった研究を続けるためにも、安定した電力の供給は必須であると考えます。
そのため我が国の現在停止中の原子力発電所を、可能な限り再稼働させるべきであると考えます。
先日、岸田首相は会見で、火力発電所を追加で10基稼働させる指示を出した、とのことですが、火力発電の稼働には莫大な費用がかかります。
ロシア問題による燃料費の世界的な高騰、政府の失策による止まらない円安がさらにその費用を押し上げるでしょう。
そしてその費用は電気代値上げ、という形で国民に跳ね返ってきます。
(上記の画像はyahoo!ニュースよりお借りしています)
2022年、最低賃金はわずか31円しか上がりませんでしたが、電気代は容赦なく上がっているようです。
せめて電気料金にプラスして請求されている再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)を停止してほしいですが、、、「決断と実行をしない」ことで支持率を保っている岸田内閣、望みは薄いでしょう。
発電量の増加は国にしかできない
電力不足が危ぶまれている中、政府は「節電ポイント」という政策を打ち出しました。
節電ポイントとは、電力小売会社が始めるキャンペーンに参加した家庭には一律2000円、企業に対し1法人あたり20万円相当のポイントが付与される取り組みです。
この政策の狙いはもちろん、消費電力を減らすこと。
しかし各個人が家庭でできる節電対策などたかが知れていますし、企業はなおのこと、電気代という「経費」を抑えようと常日頃から節電しているはずです。
重要なのは、発電量を増やすこと。
そしてその「発電量を増やすこと」は国の政策でしかできないのです。
節電ポイントとか、はしゃいでいる場合じゃないって〜!
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