アート

【大分県立美術館】コシノジュンコ 原点から現点【感想】

投稿日:2022年5月2日 更新日:

世界的ファッションデザイナー、コシノジュンコ。


世界を舞台に活躍する氏の、大規模展覧会が大分県立美術館で開催されています。


なぜ最も九州で人口の多い福岡ではなく、大分での開催なのか。


それは、こちらも世界を舞台に活躍する大分ゆかりのエンターテイメント集団「DRUM TAO」の衣装を手掛けているから。


芸術ではなく、産業、商売といったイメージのあるファッションの展覧会ですが、氏がファッションを通して創造している世界観はまさに美しく、触れた人の心を豊かにさせてくれます。


貴重な展覧会、ぜひ多くの方に体験していただきたいです。

コシノジュンコ氏とは

1960年代にデザイナーの登竜門とされる装苑賞を、最年少の19歳で受賞。


東京を拠点にデザイナーとして活躍し、1978年から2000年まで20年以上パリ・コレクションに参加。


活躍の場はパリだけにとどまらず、北京、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ベトナム、キューバ、ポーランドなど各地でショーを開催するなど、まさに世界を舞台に活躍されている方です。


流行の移り変わりの速いファッションの世界で、60年以上、現役というよりトップを走り続けているという・・え?現実世界の話、これ?みたいなお方です。


4/24(日)、展覧会に関連したイベントで「DRUM TAO」の代表・演出家の藤高郁夫さんとコシノジュンコさんのトーク・イベントが行われました。

氏の作品から受ける強烈な存在感はそのままに、お話されている様子は大変柔和で気さくな印象を受けました。


終始貴重なお話を聞ける濃密な時間だったと思います。

学生時代のデッサンから現点に至るまで

本展覧会では、コシノジュンコ氏が学生時代に基礎を学んだ美術部のデッサンから、19歳で受賞した装苑賞の実物の衣装、大阪万博、パリコレ時代、デザイン画の原本・・・などなどまさに氏の集大成がたっぷりと堪能できます。


お気づきでしょうが、会場はすべて写真撮影OKです。(動画は禁止)


氏がどのようにして世界を創造しているのか。


そして生み出された衣装の数々。

ファッションに興味がある方や、デザイナーという職業に興味がある方、もちろん普段全く縁のない方まですべてを虜にするような空間になっています。


キュレーターは氏の息子さんの鈴木順之氏が担当されているそうです。


鈴木順之氏はロンドンのチェルシー大学でデザインを学んでおり、コシノジュンコ氏の世界観を本展覧会でもばっちりと再現されています。

中でも本番のファッションショーと同じ順番で並べられているという、27着の衣装は圧巻です。


ファッションショーとは違い、時間をかけて心ゆくまで眺めることができる、というのは展覧会ならではの特権ですね。


会場内でも、学生服を来た若い方が大勢おられて、熱心に一着ずつ写真におさめていたのが印象的でした。


またデザイン原画は少し目線の位置が高いですが、衣装は非常に見やすい高さに設置されています。


車椅子ユーザーの方やお子さんも、とっぷりとコシノジュンコ氏の世界観を堪能できるでしょう。


普段美術館に足を運ぶ機会が無い方でも、きっと楽しんでいただけると思います。

注意したい点

衣装をはためかせる演出のため、送風装置があります。


そのため会場内の気温が一部寒く感じる場所があるので、ゆったり楽しみたい方は羽織ものを用意しておくと安心です。

展覧会概要

「コシノジュンコ 原点から現点」展は現在大分県立美術館にて5月29日(日)まで開催中です。


休展日もないので、気になった方はぜひ、コシノジュンコ氏の一端に触れてみてください。

開催期間2022年4月15日(金)〜5月29日(日)
開館時間午前10時〜19時
金・土曜日は20時まで
(入館は18時30分まで)
休展日なし
観覧料一般1400円
高大生1000円
中学生以下・障害者手帳掲示者とその介護者(1名)は無料
HP大分県立美術館https://www.opam.jp/
展覧会https://www.opam.jp/exhibitions/detail/777

関連記事:【大分県立美術館】イメージの力 河北秀也のiichiko design【感想】

-アート
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【中津市歴史博物館】結成150周年記念 文明開化と明六社〜津山・津和野・中津の思想家たち〜【感想】

1853年、浦賀沖に現れた4隻の蒸気船。当時の政府に大きな衝撃を与え、翌年徳川幕府はアメリカと「日米和親条約」を結び、210年間続いた鎖国政策を改め開国しました。開国に伴って日本に流れ込んでくる西洋の …

【大分県立美術館】イメージの力 河北秀也のiichiko design【感想】

まずはこちらのCMをご覧ください。 テレビからこの曲が流れてくると、条件反射で画面を凝視して勝手に切なくなったりしんみりしてしまう・・そんな大分県民は多いと思います。かくいう私もその一人。 yahoo …

【別府市】書肆ゲンシシャ【行ってみた】

センシティブな内容を含みます。閲覧にはご注意ください。 「書肆(ショシ)ゲンシシャ」。大分県別府市にあるそのお店は、まさに「驚異の陳列室」。人骨を使用した楽器や、人の皮を装丁に使用した本、戦時中に製造 …

【大分県立美術館】WHO ARE WE 観察と発見の生物学展を通してみる学術分野の未来【感想】

WHO ARE WE(私たちは誰なのか)。2021年7月22日より大分県立美術館で開催中の、観察と発見の生物学展。眺めているだけでもなんとなく楽しい美術作品の展覧会と違い、正統な学術系の展示はむずかし …

【中津市歴史博物館】岩石の王国【感想】

「岩石の王国」作家・田山花袋と洋画家・小杉放菴は自身らが手掛けた「耶馬溪紀行」の中で名勝・耶馬渓の風景をそのように言い表しています。耶馬渓は1923年に国名勝に指定され、今年でちょうど100年目を迎え …

ブログ村バナー