毎年大分市美術館が開催している夏のイベント「アート・ワンダーランド」。
子どもたちに気軽にアートと触れ合ってほしいとの願いを込めて、作品展示の位置も低め、解説も最低限で館内の装いもカラフルになっています。
2024年のテーマは「めざせ!アート博士!」。
作家や作品、技法など美術に関する様々な問題を解きつつ、アートに詳しくなろう!という企画です。作家陣も大分県にゆかりのある方たちなので、親しみやすいと思います。
ワークシートも用意されており、実際に問題を解きながら美術作品を観ることができるので、とても楽しい展覧会でした。子どもたちが意外と真剣に取り組んでいて微笑ましかったです。
もちろん鉛筆も用意されているので、手ぶらでOK。
小・中学生はワークシートを完成させるとちょっとしたプレゼントがもらえるみたいなので、ぜひチャレンジしましょう(大人は黙ってむせび泣き)。
また美術作品以外は撮影OKとのことです(受付にて確認済)。
電子顕微鏡がお出迎え
今年のテーマは「めざせ!アート博士!」。早速博士っぽいアイテム「電子顕微鏡」の登場です。
拡大されているのは日本画の岩絵の具の材料「孔雀石」を砕いたもの。すごいきれい。
左から右へ順番に粒子が細かく砕かれているものが並んでいます。
砕いた孔雀石の粉と、にかわを混ぜると絵の具の完成です。実際に感触を確かめることができるコーナー。左端はざらざら(昔の家の壁みたい)。右端の明るいグリーンはかなりツルツルです。
色味だけでなく、塗ったあとの質感も粒子の大きさによって変わるんですね。
日本画の道具や材料を展示するコーナーも。
普通の絵の具にしたってそうですが、かなり調合によって色味が変わってくるようなので、色彩にこだわりのある作家や、色そのものが特徴とされる作家はいろいろ苦心したんだろうなぁと感じます。
そこに絵そのものの構図や、描写力、筆のタッチなども合わさって初めて「芸術」となるのだからもう奥が深いです。
下記は後述する日本画家・故高山辰雄氏の愛用品。
高山辰雄氏といえばやはり特徴として挙げられるのはその青色の独特さだと思います。
めっちゃ種類ある。
けれどもう使われないで全部このままなのかと思うとちょっともったいないような気もしますね。氏の顔料を使って描いてみたい芸術家の方は多いだろうなぁ・・・使ったら無くなっちゃうけど。
大分ゆかりの作家が勢ぞろい!
黒く染まった指先、筆を手に対象物を見つめている白髪の男性。
写真の男性は、日本画家の大家・高山辰雄氏その人です。初めて写真見た。
美術館で良く作品はお見かけしていましたが、実際の写真を見るとまた印象がグッと身近になって良いですね。
他にも先日大分県立美術館で没後50年記念の展覧会が開催されていた自称・写生狂こと
福田平八郎氏。写真の横にある作家のプロフィールも簡単にまとめられているので、親切ですね。
関連記事:【大分県立美術館】没後50年 福田平八郎【感想】
こちらは竹工芸家として初めて人間国宝に選出されたお方。
竹工芸に師事して2年で独立、最終的には人間国宝・・・(白目)。なんともはや恐ろしい方ですね。
生野祥雲斎氏の作品自体も本当に恐ろしく繊細で美しいので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。
人間はこんなに美しいモノを生み出せるのか、というレベル。
今年の12月には大分県立美術館(OPAM)の方で生誕120年・没後50年を記念した生野祥雲斎の企画展が開催予定なので、そちらも要チェックです。楽しみだなぁ。
有名どころの3名をご紹介しましたが、他にも25名以上の作家の作品とプロフィールが展示されていました。けれど時代的には致し方ないこととは言え、男性作家ばかり。あとせめて10年〜20年の内には女性作家の作品がずらりと並んだアートワンダーランドも見てみたいですね。
サマー企画 アート・ワンダーランド2024 めざせ!アート博士 概要
「サマー企画 アート・ワンダーランド2024 めざせ!アート博士」展は大分市美術館にて9/23(月)まで開催中です。
中学生以下は大分市内外、大分県内外問わず無料なので、山遊びや海遊びに疲れた時や暑さを避けたい時にもおすすめです。ぜひ楽しみながら大分県にゆかりのある作家や、アートに詳しくなっちゃいましょう。
開館時間 | 10:00〜18:00<入館は17:30まで> |
休館日 | 9/9(月)、9/17(火) |
観覧料 | 一般 310円 高校生・大学生 210円 中学生以下・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳掲示者とその介護者 無料 |
HP | https://www.city.oita.oita.jp/bunkasports/bunka/bijutsukan/ |
駐車場 | 有(無料、約130台) |