アート 大分県情報

【大分県立美術館】竹会【感想】

投稿日:2023年10月22日 更新日:

大分県の特産品といえば、竹細工がその一つに数えられます。


大分は日本一の「マダケ」の産地。
マダケの材質は弾力性に優れており、古来から建築や竹細工に使用されてきました。
(私たちが春先に食べるタケノコは孟宗竹(もうそうちく)。弾力がなく編めないそうです。詳しくは林野庁のHPまで)


そんな竹の魅力に出会える展覧会「竹会(たけえ)」。


本展はすべて写真撮影可能、また実際に作品や竹に手で触れてその柔らかさや質感を確かめることができます。
竹工芸の美しさ、魅力満天の展覧会なのでお時間の合う方はぜひ足を運ばれてみてください。

竹が竹細工になるまで

竹細工が大分の特産品であるということは知識として持っていましたが、では実際竹細工が出来上がるまでどのような工程を経ているのかは恥ずかしながら全く知りませんでした。


竹会では、竹細工を編むために必要な竹ひごがどのようにして作られるのか、またどのような編み方があるのかが分かりやすく展示されています。


想像以上の作業量・・・しかもすべてがほぼ人の手によるもので面食らってしまいました。

展示スペースの一角では、竹工芸家の方がどのようにして作品を作っていくのかを実演されています。

真横で作業を数分ガン見してみたのですが、私には一体何が起こっているのかさっぱり分かりませんでした(汗)。


公開制作が行われるのは10月17日(火)〜27日(金)までで、作業を見せてくださる、いわゆる竹職人の方は日替わりになるようです。


手先の器用さはもちろん、忍耐力、精神力、頭で想像した作品を組み上げていく技術力・・・。


竹を使用した生活用品を、「伝統工芸品」の位置まで押し上げてきた先人の叡智をまざまざと見せつけられた気がします。

会期中はイベント盛りだくさん

開催期間中はワークショップや演奏会など、様々なイベントが予定されています。
詳細はこちらから↓
竹会展覧会のHP https://www.o-bje.net/lp/takee/


10月27日(金)からは展示室の夜間ライトアップも始まるそうです。
竹の凛とした佇まいと日没後の大分県立美術館の荘厳な雰囲気。どのような情景になるのか楽しみですね。

夜間にも行ってみた!

2023年10月27日(金)18:00より夜間のライトアップが始まりました。


点灯式では、笛の音色や音楽に合わせ、即興で竹細工を編むというパフォーマンスも披露されました。

人の背丈ほどもある竹ひごを、職人の方が2人がかりで息を合わせて編む。
編み上げていく度に時折響く竹独特の音も、和の音色と調和しており、一種の儀式のような印象も受けました。

アートイベントでライヴペインティングなどはよく見かけますが、竹細工もライヴパフォーマンスとして十分成立するのだと驚きました。竹ってすごい!

職人さんたちの作品もずらりと並んでいます。
実用的な竹かごなどだけではなく、想像していた以上に自由な作品がありました。欲しい。

ワークショップで制作された竹まり達も、作品として展示されています。
(会期終了後ワークショップ参加者へと返却されるそうです)


ライトアップによって更に美しい空間になっていました。影すら美しい。
OPAMの1Fアクアリウムでの展示なので、通りがかりに道路に面したガラス越しに観ることができるのも素敵。


タイミングが合う方はぜひご覧になってください。

海外ってやっぱSUGEE

(上記の画像は大分の竹製品通販ショップ竹工房オンセよりお借りしています)

大分の特産品である「竹細工」。
近代では生活用品だけではなく、竹細工の技術を活かしたアクセサリーやバックの制作も盛んなようです。


色艶も良く、使えば使うほど色味に深みを増していく竹製品。

特にバックは大きいサイズでも軽量(約350gだそう!)で、使い心地が良いため売れ行きが順調で制作が追いつかないこともあるのだとか。


竹製品に使用する竹ひごを制作するのにも数日以上かかり、またひとつひとつ手編みで職人が制作していくものですから、総制作時間は想像に及びません。


ひとつひとつが手造り100%、技術力と伝統の結晶、しかも丈夫で長持ち・・の割にはお値段が安いと思いませんか・・・?


竹工房オンセのオンラインショップの竹バック商品を高い値段から順に並べても、一番高いバックは30万円しないのです。

一方こちらはイタリアの有名ブランドPRADAのバックを高い順に並べたスクショ。

使い勝手の悪そうなスモールバックでなんとお値段約98万円だそうです。パネェ。


そりゃ色味がカラフルで可愛らしいけれど、「PRADA」のロゴマークが付いてなかったら私はブランドモノのバックとすら気が付かない自信がある。


制作するのに時間も技術も要する1点もののバックと、ブランド力(ロゴマーク)のみで売れ、ある程度量産できるバック。


「ブランド」というのはそういうことじゃあございませんのよ、オホホ・・とどこからか笑い声が聞こえてきそうですが、有名ファッションブランドはどこも西欧発信です。


ヨーロッパの効率も良く生産性の高い稼ぎ方と、日本の泥臭い商売との違いに涙がこぼれそうです。


日本人お金稼ぐの下手くそ民族過ぎる・・・。
リアルに竹細工製品はもっと値上げした方が良いと思います。あとどんどん海外に売り出そう。SDGs的にもイケる。自然素材だし。


そんなことを考えてしまいました。

竹会 概要

竹の魅力が詰まった展覧会「竹会」は、大分県立美術館にて2023年11月4日(土)まで開催中です。


間近で見て触れる、という貴重な体験ができる展覧会です。ぜひ訪れてみてください。

開催期間2023年10月17日(火)〜11月4日(土)
開館時間午前10時〜19時
金・土曜日は20時まで
(入館は閉館の30分前まで)
休展日なし
観覧料無料
HP大分県立美術館https://www.opam.jp/
展覧会https://www.o-bje.net/lp/takee/
Instagramhttps://www.instagram.com/oitabambooartandlightstakee/
駐車場有(詳しくは大分県立美術館のホームページまで)



関連記事:【大分市美術館】THIS IS JAPAN 永遠の日本美術【感想】

-アート, 大分県情報
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【大分iichiko総合文化センター】青島広志のおしゃべりオペラティックコンサート【感想】

2022年9月21日、大分iichiko総合文化センターで開催された「青島広志のおしゃべりオペラティックコンサート」。青島広志さんといえば、テレビ「題名のない音楽会」などで有名な方ですね。音楽・・特に …

【大分県立美術館】「藍と白」 -久留米絣 シンカする伝統- 文化庁重要無形文化財伝承事業 【感想】

福岡県南部の筑後地方一帯で製造されている絣、久留米絣(くるめがすり)。絣(かすり)とは、織物の技法の一つで、前もって染め分けた糸を経糸(たていと)、緯糸(よこいと)、またはその両方に使用して織り上げ、 …

【アートプラザ】クロノモルフェ【感想】

毎年アートプラザ大分で開催されるピックアップアーティスト展。大分にゆかりのある若手アーティストを紹介する本展は、今年で13回目の開催となります。展示会タイトルのクロノモルフェとは今回の為に作られた造語 …

【大分県立美術館】イメージの力 河北秀也のiichiko design【感想】

まずはこちらのCMをご覧ください。 テレビからこの曲が流れてくると、条件反射で画面を凝視して勝手に切なくなったりしんみりしてしまう・・そんな大分県民は多いと思います。かくいう私もその一人。 yahoo …

【やおや六画ストア】朝市日和【体験レポート】

大分市にある「やおや六画ストア」。その八百屋さんで毎週日曜日の朝、開かれている朝市があるのをご存知ですか?その名も「朝市日和」。しかも朝市日和のゲストは週替りなので、毎回違った名物が楽しめます。朝市日 …

ブログ村バナー