栄養士

委託と直営ってどう違うの?メリットやデメリットを徹底解説【体験談】

投稿日:2020年10月5日 更新日:

栄養士として働く時の悩みの一つが、就職先についての悩みです。


よく「委託給食会社はブラック企業が多いから、直営の方が良い」。
もしくは「働くんだったら直営以外は嫌」という意見を耳にします。


なんとなくイメージだけで語られてしまうこの問題ですが、実際はどちらの組織にもメリットやデメリットは存在します


私はどちらの組織でも勤務した経験があります。
今回は、経験談を交えながら、直営方式と委託方式について徹底解説します。


栄養士としての就職先について迷っている方の参考になれば幸いです。

委託と直営ってどう違うの?

委託給食会社(委託)と、直接運営方式(直営)はどう違うのでしょうか?


一番の違い、それは雇用主の違いです。


委託給食会社に栄養士として就職した場合、実際に勤務する現場は委託会社が契約している施設(例えば学校、病院、高齢者施設など)になります。

もちろん給与の支払いは、委託会社からになります。

シフトや休日などの勤務体系も、委託会社の規定内で行うことになります。(月8日休、週の労働時間は40時間以内、など)


直営方式の施設に就職した場合は、その施設が自前で抱えている厨房や、栄養科などに直接採用されるということです。

勤務する場所は、実際に採用された病院や、高齢者施設などで、給与の支払いも採用された施設からになります。

シフトや休日の管理も、採用先(病院や高齢者施設)の規定に基づいて行われます。


委託でも、直営でも仕事の内容は(献立作成、栄養管理、あるいは調理作業)大差がありません


どちらかというと、仕事の内容に差が出てくるのは勤務する場所、あるいは就職した施設の種類(学校であるのか、社員食堂であるのか、病院であるのかなど)によるところが多いです。


また、委託でも直営でも初任給はそんなに変わりません


ただ、勤務時間、残業代がつくかや、昇給などによって差が出てくるでしょう。

現在は委託も直営も業績不振であることが多いので、定期的な昇給は無いかもしれません。

ぜひ面接の段階で残業代や昇給、賞与についてきちんと確かめておくことをおすすめします。


雇用形態も、委託だから契約社員などの非正規雇用、直営は絶対に正社員、ということではありません。

しかし、委託会社に正社員としての登用を望む場合は、転勤可でないと採用されない場合が多いでしょう。


逆に直営はその勤務先での直接雇用となるので、転勤はほぼないと考えて良いです。

委託と直営の違いまとめ

✔ 雇用主の違い

✔ 仕事内容は変わらない

✔ 給料も変わらないが、後天的に変わる可能性あり

✔ 雇用形態に違いはないが、委託は転勤の可能性あり

一般的には食中毒や人的管理のリスクから、委託方式を選択している給食施設の方が数が多いです。

つまり直営方式に栄養士として就職するのは狭き門、ということになります。

就職先の倍率が高いと、直営方式がホワイトで委託方式がブラックのように感じてしまいそうですが、そんなことはありません。


大切なポイントは、どちらの組織にもメリットやデメリットがあり、どちらが自分にあっているのかを見極めることです。



直営方式では10年以上、委託方式ではまだ1年程度ですが、両方の組織を経験した今だからこそ言えることでもあります。

直営のメリットとデメリット

直営方式の最大のメリットは、勤務先が変わらないことです。


勤務先が変わらないということは、仕事の専門性・個人スキルがどんどん上がります。

自分の責任や裁量で行える仕事も増えていきます。

長く勤務すればするほど、その組織にとってはなくてはならない人、になることができるでしょう。


しかし、デメリットはメリットと表裏一体です。


例えば、勤務先が変わらないということは人間関係が一度こじれると、ずっと苦しむことになります。

スキルが上がれば自然と抱える仕事量が多くなり、また情報を細部に渡るまで把握しておく必要性からプレッシャーも増えます。

その組織では大切な人かもしれませんが、概念が固定化しすぎると他の組織では輝けない人になっているかもしれません。


直営方式のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

メリットデメリット
勤務先が変わらない人間関係が狭くなる
スキルの上達が見込め、裁量が増える仕事量、責任の増加
組織にとって大切なメンバーになれる転職・退職に伴う喪失感

私は直営の病院(計2施設)に合わせて12年勤務しておりました。

経験を重ねるほどに仕事をこなすスピードがどんどん上がり、自身の成長を感じることもできました。

また、対象者である患者様の栄養状態を把握することや、コメディカルスタッフとのコミュニケーションも勤務を続けるほどに楽になっていったのも事実です。


しかし、把握できる情報が多ければ多いほど、比例して仕事量は増えていきました。

転職した今だから言えますが、精神的にはなかなかしんどかったなぁという気持ちです。


次に、委託方式のメリットとデメリットを見てみましょう。

委託のメリットとデメリット

委託方式に就職したときの最大のメリットは、意外に思われるかもしれませんが、移動(転居を伴う、伴わないに関わらず)があることだと考えています。

一箇所にとどまらずいろんな給食施設にかかわることが出来る。

それは栄養士としての職務の幅を広げたい人にとっては最善策。


もし人間関係がこじれても、勤務先を変えればリセットすることもできます。


委託給食会社は、病院、高齢者施設、学校、社員食堂など様々な受託先と契約を結んでいる会社が多いです。


ただし、例えば病院が受託先である場合、給食運営は委託先であっても患者様にかかわる栄養管理業務や、栄養指導、またはNSTなどのチーム医療は直営の栄養士しか関われない場合が多いです。
その点で、委託先の栄養士はいい意味でも悪い意味でも「広く、浅く」という業務の関わり方になると思います。


委託方式での最大のメリット。
それは、委託会社の中で栄養士の先輩や同期との繋がりが出来るという点です。

直営方式であれば、施設の規模によっては栄養士の採用が一人のみ、ということもあります。
栄養科のトップが新卒一年目の栄養士、という事態も起こります。

その点委託会社では困った時や、業務で行き詰まった時、メールや電話などでアドバイスや指示を仰ぐことが出来るのも利点です。

また地域を統括するマネージャー(いわゆる上長)に仕事の悩みを相談しやすいのもポイントです。


委託方式のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。

メリットデメリット
移動すれば人間関係がこじれてもリセットできる。移動があれば新しい現場で、1から信頼関係を築く必要性がある。
病院、施設、学校など、様々な業種の栄養士としてのスキルが身につく。栄養指導など、深く対象者の栄養管理に携われない可能性がある。
仕事上の困りごとを同じ委託会社の先輩栄養士や同期に相談しやすい

最初は施設間での移動があるのはデメリットだなぁ、と考えていたのですが最近では移動にはメリットもあると感じています。

こんなことを言うと怒られそうですが、人間関係だけでなく、業務内容に飽きてしまった時も、移動があれば新鮮な気持ちで仕事が出来るというメリットもあります。

委託会社では、直営時代にはなかった会社内での栄養士同士のつながりもあり、いい意味で衝撃を受けました。

給料、休日などに違いはあるか

実は一番気になるのがこの部分ではないでしょうか。


実体験を交えながらお伝えしようと思います。

大前提として、一般的にどの業種でも言えることですが、就職面接の時点で雇用条件は必ず確認するようにしましょう

月給はもちろん、残業の有無、有るとすれば目安の残業時間、賞与(ボーナス)や定期昇給はあるのか、などです。



まず残業代についてです。

体験談として、委託方式の場合は月給に固定残業代が含まれている場合が多いです。

固定残業代とは、例えば月40時間分の固定残業代が月給に含まれている場合、その月に40時間以内であれば残業が発生したとしても雇用主は残業代を新たに支払う必要がありません。

逆に言えば、その月の残業時間が20時間しかなかった場合でも40時間分が固定で入っているので20時間分お得にはなります。

直営方式の場合は、固定で残業代が月給に含まれているパターンはなかったです。


次に昇給に関してです。

委託より、直営方式の方がまだ希望があると思います。

・・が、私が勤めていた直営の組織では、入職時に年一回の昇給あり、との条件でしたが、経営上の問題もあったのか実際には3〜4年間昇給がなかったという経験もしました。

給与についてまとめると、最初から固定残業代が月給に含まれていることの多い委託の方が手取り収入は多くなります。

しかし、委託は業績により昇給が見送られることも多いので、定期的な昇給が見込めるのであれば直営方式の方が将来的に給与所得は多くなると言えます。



最後に休日や勤務時間数に関してお話します。

まず、委託からです。

そもそも月給に、最初から固定残業代が含まれているということはあらかじめ残業の発生が予定されているということです。

委託方式は近くの事業所から人を回してもらえるので、意外と休日が取りやすい、という意見も耳にします。確かに一理あります。

しかし、他の事業所から人員を確保しやすいということは、自分自身も他事業所での欠員が出た場合ヘルプ業務に就かされるということでもあります。

もちろん直営方式の場合でも、自分の勤務する職場で欠員が出た場合、最悪自分が休日出勤などを行い現場を回す可能性が出てきます。


加えて、年間休日数は勤務する事業所(学校や社員食堂なら土日祝が休み、病院、介護施設なら少なめになる)にもよるので、直営だから休みが多い、委託だから極端に少ない、ということはないと思います。


まとめると以下のようになります。

委託直営
給与昇給や賞与は業績によるところが多い。固定残業代が含まれていれば手取り収入は直営より多い場合も。昇給があれば、長年の勤務で委託より後天的に上がる可能性あり。
休日勤務する事業所による。勤務する事業所による。

いろんなスキルを得たいなら委託、長く勤めることを想定しているなら直営

栄養士として初めて就職する時、私はどちらかと言えば委託をおすすめします。


分からないことだらけの不安な新人時代に、先輩や同期の栄養士に相談できるのはとても心強いですし、年齢の若い頃にいろんなスキルが手に入るので長い目で見ればお得だからです。


私は逆に、新人時代から直営方式でしか働いたことがない状態で委託給食会社に転職しました。


しかし、クライアント様との交渉や、いわゆるビジネスマナーと言われるメール対応、電話応対などに非常に苦労した覚えがあります。


一度にいろんな業務を覚えることが出来るのは若い年代の強みです。
やはり年齢を重ねるとどうしてもついていけない部分が出てきてしまいますので、そういった意味でも最初の就職は委託をおすすめします。


委託で得たスキルは、栄養士だけでなく、一般事務などでも活かされるスキルが多いため、転職にも有利です。


しかし、ひとつのことにじっくりと取り組みたい、対象者の栄養、健康に深く関わっていきたいタイプの方はやはり直営方式のほうが向いていると感じます。


直営方式で運営している給食施設自体が減っているので狭き門であることは間違いありませんが、直営方式の施設に就職できなかったから栄養士として働くのを諦める必要は全くありません。


一旦委託で働きつつ、自分にスキルをためて直営方式の給食施設を粘り強く探すのもアリです。


いろんなところにアンテナをはっていると、思わぬタイミングで求職情報をキャッチできたりするので、絶対に直営で働きたいという方は探し続けることが大事です。

おわりに

直営方式、委託方式の違い、給与や待遇などを実際の経験談を交えお話しました。


どちらの方式でもメリット、デメリットはもちろんあります。


重要なのは、どちらがより自分にとってスキルを得やすいか、働きやすそうか、、などをイメージすることです。


実際に就職・勤務をしてイメージと違っても、転職しやすいのが栄養士の強みです。


失敗を恐れずに、どんな経験もスキルをためるチャンスだと考え、チャレンジしていきましょう!

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