「50℃洗いってどうなん?流行ってるやん」
かつて病院で管理栄養士として働いていた時、調理師の方からこんな質問をされたのを覚えています。
この質問に限らず、栄養士は食べ物や栄養に関することの質問をされやすいですね。
当然と言えば、当然。
みんなテレビや雑誌で手に入れた情報を、確認してきます。
でも、当時「50℃洗い」なんて、私も初耳。
だって学生時代はそんな洗い方があるなんて習ってないし、不確かなことは言いたくないし・・。
周囲の方々、調理師の方や、看護師、はたまた栄養指導中の患者さんにまで、「そう言えば、あれどうなん?」って感じで気軽に聞かれます。
栄養士として働いたことがある方には、きっとあるあるですよね。
その「どうなん?」に答えてくれる、またはヒントをくれる本のご紹介です。
栄養のなるほど実験室のココが好き
栄養士って割と一人仕事になりがちです。
なぜなら、栄養士はだいたい職場で一人しか採用されません。(もちろん規模の大きい病院や委託給食会社などは別ですが・・)
栄養士は部署に一人しかいないことも多い。
それって、ふとした疑問や迷いが発生しても、気軽に聞ける相手がいないってことです。
そんな時この本があれば、ちょっとだけココロの余裕が持てるはず。
栄養や食べ物のことを質問したら、ちゃんと答えて、教えてくれる栄養士。
それは信頼関係につながります。
小さいことかもしれませんが、仕事をする上で、信頼関係を築いていくことは非常に重要です。
栄養のなるほど実験室 概略
この本は、誰もが料理をしている中でふっと気になった疑問を、実験・検証し、科学的なデータに基づいて結論を導き出した本です。
また、このデータを基に、美味しい調理ができるようワンポイントアドバイスも載っています。
出版は2019年とのことなので、データも比較的新しいです。
少しだけ中身をご紹介します。
冒頭の「50℃洗いってどうなん?」ですね。
結論から言えば、
だそうです。
なぜそうなったのか。考えられる理由は、
①野菜が50℃の湯にさらされると気孔を開き、水分を吸収するため、カリウムなど水溶性の成分の一部は細胞内への湯の流入によって押し戻される(もしくは損失が阻害される)状態となる。
栄養のなるほど実験室 栄養の疑問 カリウム より引用
②その後、水分の吸収が収まると溶出が始まる。
この時間差が残存率の差につながったと考えられます。
という風に、解説もされているのでわかりやすいです。
栄養士さん以外にもおすすめ!
ただなんとなく眺めているだけでも勉強になり、楽しい本になっています。
イラストが豊富で、文字のサイズも大きめなので、読みやすいです。
また詳細なデータも数値で記載されています。
栄養士の方にはもちろん、そうでない方にもおすすめの1冊になっていると思います。
まとめ
日々の業務に追われ、なかなか自分で勉強する時間が持てない・・。
そんな時は、本で勉強するというのもひとつの方法です。
例えば、本書には鉄分補給に鉄の調理器具は有効か?や、大根のビタミンCは人参によって本当に破壊されるのか?などを科学的に検証した結果が載っています。
どちらもネットで検索したときの結果を覆した結果になっています。
興味がある方はぜひ。
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