ページをめくる度に、美味しいものや楽しいお話に巡り会える。
そんな本のご紹介です。
作者は阿川佐和子さん。
エッセイスト、小説家、はたまたコメンテーターに司会者と、テレビでもおなじみのあの方です。
著者紹介
阿川佐和子さんといえば、ベストセラー「聞く力」が有名ですね。
またテレビタレントとしても、名プレイヤーであると存じます。
司会業では、鼻息荒いコメンテーター達をかるくいなし番組を進行。
またトーク番組では、あの柔らかな声と笑顔で、ゲストだけでなくいつしか視聴者までもが阿川さんのトーク術に魅了されているのではないでしょうか。
著書の中で、自らを「吝嗇家(けち)」だとおっしゃる阿川さんですが、その実ご本人は華麗なるお育ちです。
お祖父様は実業家、お祖母様の実家は骨董商、お父上の弘之さんは作家、おまけに母方の祖父は建築家の増田清さん、というまさに華麗なる一族。
以前レビューした森茉莉氏(森鴎外の娘)と違い、流石にお手伝いさんがカオアラウオユを毎朝持って来てくれるわけではないようですが、大変なお嬢様育ちなのでは?と個人的には思っています。
しかし、本書記載のエピソードは至って庶民的。
テレビで拝見する阿川さんそのものです。
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魔女のスープ 残るは食欲 おすすめポイント
お嬢様育ち、しかも芸能人であるはずの阿川さんですが、こと食に関してはとっても庶民的感覚をお持ちのようです。
頂きものの千疋屋のメロンを大事にしすぎて食べ時を逃してしまったり、大量に作ったスープを最終的にカレーにしたり、きっと誰しもが身に覚えのあるエピソードが並んでいます。
また、エッセイ集なのでひとつひとつのエピソードは短め。
とても読みやすいです。
文体も柔らかく、阿川さんが実際お話してくれるように、なだらかに文章は続きます。
タイトルも素敵なセンス。
ひと目見ただけで内容が分かるような、分からないような、楽しいタイトルです。
こんな時に読みたい
家事の合間や、もしくは移動中に読んでも楽しい、そして読んでいるとお腹が空いてくる本です。
夕飯何食べようかな。
冷蔵庫には何が入っていたっけ?なんて脳内で会話を繰り広げながら読み進めるのも楽しい。
ふと日常でネガティブになっているとき、なんとなくやる気が出ないとき。
この本を読むと、少しだけ前向きになれるような、日々を丁寧に暮らしたくなるような、そんな不思議な力があります。
「残るは食欲」
共感性しかない副題。
食い意地がはっている私は寝ても覚めても食べることが好きですし、病めるときも健やかなるときもだいたい食べ物のことを考えています。
食に関して興味のある方はもちろん、別に興味がないという人もきっと楽しめるはず。
本日のティータイムのお供に、おいしい本、いかがですが?
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