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【大分市】回遊劇場 AFTER 大分アートフェスティバル2022【感想・作品紹介】

投稿日:2022年11月14日 更新日:

大分市中心市街地を舞台に開催されていた「回遊劇場 AFTER」。


まさにお祭りのようなアートイベントでした。


開催場所はアクセスの良い大分市の中心街、しかも入場料、観覧料などは無料。


また、会場内に展示されているアート作品も、新たに追加されたり、ちょっとずつアップグレードされたりして、約一ヶ月もの間楽しませていただきました。


また次の回遊劇場が開催されることを願いつつ、大切な思い出として記事を残しておきます。


関連記事:【大分市】回遊劇場 AFTER 大分アートフェスティバル2022【概要・関連イベントまとめ】

アーティスト・作品紹介

今回の「回遊劇場 AFTER」に参加されているアーティストは、会場の空間キュレーターの方を合わせて総勢16名。


作品のジャンルも、映像作品や、彫刻、インスタレーション作品まで幅広いアートに触れることができます。


通常の美術館や博物館では、なかなか一度に目にすることができない作品たち。


会期中に催されたトークイベント、シンポジウムなどの記憶とともにご紹介します(敬称略)。

空間キュレーター 松田 周作

(画像は回遊劇場AFTER公式Instagramからお借りしています)


2019年より空きビルとなっていたNTT府内ビル別館を、NTTアートシアターとしてデザインし、生まれ変わらせたのが松田さんです。


ペイントワークショップ「縄文建築団 塗装編」として、一般の方が会場の床や壁を塗装するイベントも会期前に開催。


部屋に設置されている配管まできちんと塗られており、その細やかな仕事はあまりにも作品と馴染んでいるので、まるで最初からそうであったように錯覚してしまうほどです。


トークイベントや登壇イベントが予定されていないので、お話が聞けないのが残念ですが、会場を訪れた際は作品の背景となっている壁や床にも注目です。

隣の幽体/残影と種 青トンカチ

NTTアートシアターの男子トイレ内にインストラクションされた作品「隣の幽体」と、街中を巡るパブリック型アート「残影と種」。


アート=絵画や彫刻作品を見る、のようなイメージを打ち壊すような作品たちで、とてもわくわくしました。


私は女性なので、男子トイレに入るというだけで非日常に没入する感覚になりました、笑。


猫又さんたちはなんと100ヶ所以上も街中に出没していたそうです。


ポーズもいちいちかわいいので、ただ散策するだけでも楽しかったです。


11月12日(土)にNTTアートシアターで行われたインスタライブの様子はこちら↓

https://www.instagram.com/p/Ck2BCMip_Th/


インストラクション作品「隣の幽体」、「残影と種」プロジェクトについて語られています。

enérgeia/Re-filter 穴井 佑樹

大分県出身のメディアアーティスト、穴井佑樹さん。


会場内には2つの作品が展示されています。


enérgeiaのアーカイブ映像は、穴井さんのTwitterでも見ることができます。

LEDを使用した作品ということで、enérgeiaが展示されている部屋は真っ暗。


他の部屋とは違う雰囲気に、訪れた子どもたちはテンションが上がっており楽しそうにしていたのが印象的でした。

一方Re-filterは、作品の前に立ち、手を動かしたり体を動かしたりすると、動きに反応して音が鳴ったり光が点滅する体験型作品。


用意されているカラーパネルを使用することで、さらに光の色が変わったりするので、何度訪れても遊びたくなる仕掛けになっています。

INDIVIDUALS MOVE 2022 岩澤 有徑

最初作品を観た時の印象と、最終日ではガラリと印象が変わった作品です。


作品中に登場した著名な芸術家たち。


岩澤さんは、もし彼らが現代に生きていたら、どのような作品を作り上げるのか・・という想いを映像に詰め込んでいたのだとようやく腑に落ちました。


映像がとても美しく魅力的で、会場を訪れる度に惹きつけられるように展示されている部屋に行ってしまう・・という不思議な作品です。

BUBBLEs!夜のカラフル水族館 岩田 敦之

岩田さんの常設スペースでは、今までの活動記録を見ることができます。


11月25日(金)に行われたプロジェクションマッピングの様子(写真)がこちらです。

極彩色のお魚たちが優雅にたゆたう様子は想像していた以上に美しかったです。


会場ではシャボン玉も舞っており、訪れた子どもたちも歓声を上げていました。


真っ暗な空と、アートシアターをゆらゆらと泳ぐお魚たち。


まさに夢のようなひとときでした。

Sculptures on the floor Olectronica 

Olectronicaさんの部屋では、「痕跡」をテーマにした作品群が展示されています。


部屋をまるごとダイナミックに使った「floor hollow」や、何故か寂しさや不安を感じてしまう「glass case scene」など、その独特な世界観はクセになりそうな居心地の良さです。


作品には、展示してある部屋の、剥がした床を加工して利用しているとのことです。

大分の誘惑 甲斐 扶佐義

人畜無害そうな好々爺といった第一印象の甲斐さん。


10月30日(日)に行われたアーティストトークでは、圧倒的な教養の深さ、知識量の一端をうかがい知ることができました。


「大分の誘惑」というのは、もともとジュンク堂大分が開店する時に記念で250部のみ作られた写真集だったとのこと。


甲斐さんの展示スペースでは、1980年代前後の大分の様子を見ることができます。


会場に訪れていた方も、「懐かしい」と歓声を上げて写真に見入っていました。


狙いすましたかのように一瞬を切り取った写真。その中で永遠に息づく大分の人たち。


見ていると、あたかも自分もその場所にいるような感覚になれる作品です。

オーバーヘッド・ストーリー/Portic Altar サバコ

壁一面に書きつけられた数字にビビってしまったのは私だけではないはず。


一見すると、精神病質者が独房に閉じ込められた時にひたすら壁に数字めっちゃ書いたヤバい部屋、のようですが、出入り口にある手引き(QRコード)を読むとそうでないことがわかります。


サバコさんご自身が解説している動画はこちらから↓

10月22日(土)の歩行者天国で行われていたトークイベントでは、9月に回遊劇場からのオファーがあったとのことですが、わずか1ヶ月強でこの部屋を作り上げたのもすごいと思いました。


また11月6日(日)より新たな作品が追加されました。

タイル張りの部屋に違和感なく置かれた祭壇。


まるで建物ができた当初からそこにあったかのような存在感を発しています。

UNTITLED 07-A/UNTITLED 2022 前田 哲明

前田さんの作品も2つ展示されています。


中庭に設置されているのが、UNTITLED 07-Aで、250kgの重量があるそうです。


3階の部屋内に展示されているのはUNTITLED 2022。


2007年に制作された作品と、2022年に制作された作品。


何がぶつかってきても跳ね返すような、揺らぐことのないようなどっしりとしたUNTITLED 07-A。


一方ボリュームが引き算され、頼りないようにも見えるけれど、その実何をも受け流すような強かさを感じるUNTITLED 2022。


質感や色味などの違いを見比べてみると、とても興味深い作品です。

前田ロボ工房 前田 亮二

シルクオーガンジーにプリントされたつぶらな瞳のロボットたち。


時間帯によって太陽の光が差し込む部屋では、暖かな雰囲気が満ちています。


角度をいろいろ変えて見ると、ロボットの表情が変わるので面白いです。


ロボ工房の名に恥じぬような、そこかしこに散らばるロボットを作るための道具達。


部屋の隅々まで作り込みがすごいです。

光の庭 宮川 園

美しい6脚のテーブル。


そのひとつひとつに詩が添えられています。


宮川さんがご自身で作品について語られている動画はこちらから↓

11月23日(水・祝)に行われた「食べるポエム」では、実際にこちらの作品を使ってパフォーマンスが披露されました。


まさに宮川さんだけにしかできないアート×食の体験パフォーマンスでした!

(テーブルには透明のビニールシートがかけられています)
これは美味しいカレー味の「土」。黒いのは竹炭が入ったチュイールで、塩味がしました。

これは「枯れ葉」につけるためのディップです。


ビーツ、さつまいも、かぼちゃのペーストです。


色鮮やかさがすごい。


このような素敵なパフォーマンスが大分で体験できるなんて思ってみませんでした。

3次元の絵画〜重力と張力〜 森 貴也

会場内にある階段の、1階から3階までぶち抜いているのが森さんの作品です。


真っ白なキャンパス生地と、ブルーの階段の色がとても爽やかで気持ちの良い空間になっていました。


差し込んでくる光が、階段を利用する人によって途切れたり、誰かが上り下りする音に耳を傾けたり、と自由に楽しめるインスタレーション作品です。


私も登ったり降りたり、一番下から真上を眺めたりして楽しかったです。


森さんご自身が作品について解説している動画はこちらから↓

宇宙時代の独身主義、さえも 山本 豊子

立体、平面、映像によるインスタレーション作品が、「宇宙時代の独身主義、さえも」です。


こちらの作品には設定が存在します。

・バスタブは宇宙船。
・宇宙人の体は油と水でできている。
・青い小瓶は、宇宙人が地球を見て、「きっと青い油と水でできているのだろう」と考えて作り出したもの。
・この部屋の持ち主はそんな宇宙人の研究をしていた博士(故人)で、今は助手が管理している。

幸運にもアーティストの山本さんに解説をいただいた部分をまとめてみました。


会場では、白衣を身にまとった山本さんご自身が助手に扮していらっしゃいました。


ただ、設定通りに作品を眺めなくても、「誤解して物語を作っていく」のが作品だともおっしゃっていたので自由に楽しむのが一番だと思います。


ちなみにバスタブの中身はガチのオリーブオイルだそうです。

SCREW 唐辛子犬/鼻ねじれ 吉野 辰海

今回参加されたアーティストで最年長(82歳)という吉野さん。


NTTアートシアターでは、2つの作品を見ることができます。


どちらも犬をモチーフにした作品です。


戦中・戦後の食糧難の中、各家庭で飼っていた犬さえも憲兵が連れて行った。


ある日突然失踪した犬の記憶。


その時の消えない記憶=原体験が、作品のモチーフになっているそうです。


お話を聞く前は、なんで犬?なんで唐辛子??しかもそのリアルな表情にしか目が向きませんでしたが、また作品から受ける印象が変わりそうです。

壁画 見護る牡丹 塙 雅夫

大きな美しい牡丹がいきなりビルの合間から顔を出す。


通りすがりに目に入ると、まさに見護られているような、嬉しくなるような作品です。


アーティストの塙さんは、もともと商業美術(映画やドラマの中で使われる絵画などを手掛ける人)で活躍されていた方で、ディズニーランドの壁画ディレクターもされていたそうです。


またディズニーの仕事が縁で、壁画の本場イタリアにも滞在され、修復作業などのお仕事をされていたのだとか。


見護る牡丹の制作は、台風や雨を避けるために真夏の7〜8月に行われたそうで・・考えただけでも目眩がします。


ガレリア竹町商店街のキムラヤビル壁面に出現した牡丹。


本当に本当に美しい作品です。

シャッターアート にじいろの水族館 こっちゃん

愛らしくて、明るい気分にしてくれるのがこっちゃんさんのシャッターアートです。


ちょうど竹町商店街の中心街の方にある作品なので、人通りの多い場所にピッタリの賑やかな作品だと思います。


クリオネや小さいカラフルなお魚がたくさんいるので、見てて楽しくなるアートです。

大分圏清掃整理促進運動会(トイレンナーレ)

NTTアートシアター内では、アーティストの作品だけではなく、大分圏清掃整理促進運動会の活動の軌跡を見ることができます。

活動に賛同と興味を持ってくれた人が意思表明できるようのシールが置いてあります。(詳細は写真左上の説明書きに有ります)


一人一回一枚貼ることができます。


私は何度も会場に行っているのですが、その度に貼っています。(そして毎回他の観覧者の人がエッ?みたいな顔をする、笑)

上記の写真は最終日の前日、撮影したものです。


どうやらたくさんの人々から賛同が得られたようです。

回遊劇場 AFTER 感想まとめ

「回遊劇場 AFTER」。


約一ヶ月の間、とても楽しいお祭りを開催してくれたことに感謝したいです。


土日はもちろん、平日もジャズのライブや、カフェの出店などがあって、NTTアートシアターという場所自体がいつも賑わっていて楽しそうな雰囲気だったのがとても嬉しかったです。


また、いつか「回遊劇場」と再会できることを祈って。

開催日10月28日(金)〜11月27日(日)
展示時間(NTTアートシアター)10:00〜18:00
観覧料無料(飲食店での鑑賞は要飲食代)
駐車場なし(近くにコインパーキング有り)
電話番号090-2617-3344
Instagramhttps://www.instagram.com/kaiyugekijyo/
Facebookhttps://www.facebook.com/kaiyugekijyo/
Twitterhttps://mobile.twitter.com/kaiyugekijyo

関連記事:何故アートは「高尚なモノ」になってしまうのか?

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